インタビュー

コロナ時代の生存戦略とは? これからの飲食・小売業を考える

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時代の変化に応えながら働き方をシフトする――。2020年、新型コロナウイルス感染拡大が猛威を振るう今、まさに「シフト」の必要性が叫ばれ、現在進行形で進んでいます。ワークシフトだけでなく、ライフシフト、またデジタルシフトも起こるなか、これからの生存戦略を考える機会にと、今回のインタビューでコロナの影響を受け注目もされている飲食業、小売業の企業さまにご登場いただきます。

一人目は、株式会社ウインズジャパン営業本部本部長の藤本裕明(ふじもと・ひろあき)さん(画像左)。同社は、国内のみならず海外49店舗でラーメン店『博多 一幸舎(いっこうしゃ)』を展開しています。もうお一方は、エース株式会社情報システム部マネージャーの栗林良輔(くりばやし・りょうすけ)さんです(画像右)。旅行バッグ、旅行小物、スーツケース、ファッションバッグ、ビジネスバッグなど約30ブランドを国際展開しています。
両社ともにコロナ禍で経営に打撃を受けました。しかし、そこから新たなビジネスの歩みも始めています。この惨禍にどう対応したのか、弊社製品のユーザーでもあるお二人に、株式会社ネオジャパン・市村英二が話を伺いました(敬称略)。

コロナ、そして緊急事態宣言。影響は即、売上に現われた

――今回の新型コロナウイルス感染拡大は、私たちの生活や働き方に大きな変化を迫るものになっています。日本では4月7日に7都府県に、そして4月16日に全都道府県に緊急事態宣言が出されました。まずは、同宣言が出される前後のお話をお聞かせください。
藤本 本年1月までは、売上的には好調でした。最初、中国・武漢市でコロナの話題が出た時も、遠い国の出来事と思っていたのですが、1月半ばごろに国内初の感染者がでて、北海道での感染拡大が話題になると「ちょっと流行りつつあるな」と構えるようにはなりました。ですが、予想を超える勢いでウイルスの影響が広がり、売上も前年比で80%、70%と落ち、緊急事態宣言が出た時点では50%にまで激減していましたね。
――政府からの自粛要請もあり、急な対策を練らなければならなかったわけですが、最初はどのように対応されたのでしょうか。
藤本 東京や大阪の店舗はすぐに営業時間を短縮し、土日の閉店などを始めました。商業施設や駅ナカなどにある店舗はそもそも営業ができなくなり、これは困りました。
――移動の自粛があったため、旅行バッグ等を主力製品としてもつエース株式会社さまも打撃を受けたのではないでしょうか。
栗林 やはり、大型施設に入っているところは3月下旬くらいからすでに休業せざるを得ない状況でした。その前から時短営業等は行っていたのですが、売上はどんどん下がりました。旅行だけでなく、ビジネスマンの出張も制限されていたので、スーツケースも主力製品にしている弊社としては、大きな打撃でした。今(7月10日時点)も厳しい状況が続いています。
――緊急事態宣言を受けて、まず何をされましたでしょうか。
藤本 何をしようか、悩みました。弱ったのは「いつ解除されるかがわからなかったこと」です。しかも、流れてくる情報も二転三転していた。社員からは「どうなるんですかね……」と不安の声もでてきた。でも、社員に質問されても私も答えられないわけです。ですが、立ち止まってはいられないので、限られたなかでもできることをやろうと決めました。新店計画を延期したりと制約はすでに感じていたので……。
栗林 旅の需要、出張の需要がなくなってしまい、売り場はクローズです。ただ、弊社はECサイトでネット販売もしていたので、そちらに注力しようという話になりました。聞いたところによると、ファッション等ではECによる売上が増加しているとのことだったのです。ですが、やはり「そもそもの需要」がなくなったわれわれの業界の商品は、ECでも前年を確保することは難しい状況でした。

注力する商材の変更。テイクアウト。マスクの製造も開始

――八方ふさがりのようにも感じられる事態ですが、戦略的なことは何かできたのでしょうか。たとえばエースさまですと、キャリーバッグのイメージがあるのですが……。
栗林 まずは、注力する商材を変えました。ショルダーバッグやボディバッグ、ポシェットなど、日用としても使える商材を集めて全面的に押し出し、販売を開始しました。この対応は、功を奏したと思います。
藤本 うちはテイクアウトに力を入れました。テイクアウト用の食品もそうですが「のびない麺」も開発しました。お持ち帰りいただく際に、麺がのびてしまっては元も子もないですから。また、郊外にあって開けている店舗に関してはソーシャルディスタンスをとって並んでもらったり、アルコール消毒を徹底したり、店内に仕切りを設けたりしました。あとは、社員向けのオンラインセミナーを実施しましたね。接客の仕方や経営と数字の話、売上対策の話等、全社員をオンラインでつないでレクチャーしたのです。これは2日に1回くらいのペースでやりました。
――それは、研修的な、普段であればできないことをしたということですね。社員マインドを変えるような。
藤本 そうですね。
――補助金関係は利用されましたか?
藤本 テイクアウトの補助金は利用しましたし、雇用調整助成金も申請しました。
栗林 弊社は、会社全体で休業日を設定し、調整するようにしました。で、休みの日以外は全社員テレワークという形に舵を切りました。店頭に立てないわけですから、在宅でできることをしようと。また提携する工場の生産ラインを使って、マスクの製造にも着手しました。提供初日は6万枚が用意できたのですが、即日、売り切れました。
藤本 実は弊社でもマスクをつくったのです。それは従業員マスクで、今後は販売展開も考えていますが、博多どんたく祭りなど、大型の祭りができなくなるなか、衣装をつくっている会社さまにお願いをして、布再利用という形でマスクを制作してもらいました。

株式会社ウインズジャパン様の従業員用マスク


エース株式会社様の不織布マスク

――その取り組みは地域の支え合いにもつながりますね。

人心がまとまる土壌を社内につくる苦節

――従業員同士が会う機会も激減したと思います。そのあたりについてケアされたことはございますか。
藤本 オンライン飲み会をやりました。社長も率先して参加して、結構な頻度でやりました。地域や本部と店舗などの垣根を越えて、みなでコミュニケーションを取り合いましたね。福岡の店員と東京の店員が顔を合わせる機会なんて今までなかったですが、今回、こうしてつながることができて、そのまま互いが連絡を取り合う仲になったりしています。
栗林 「つながり」とは少し違う話ですが、弊社では社員同士が互いの状況をよく見るようになりましたね。たとえばdesknet’s NEO(編注:ネオジャパンが提供するクラウド型グループウェア)のスケジュール機能で、互いの勤務状況を確認するんです。「休業日の相手にはなるべく電話をしない」という相手への配慮で、スケジュールカレンダーを確認する習慣ができました。ただでさえ在宅でずっと家にいて、休みの日も家にいて、それで仕事の電話がかかってきたら、つらいですよね。そういった配慮が生まれたのがよかったです。
藤本 弊社はdesknet’s NEOのタイムカードで在宅勤務を管理しました。「今から仕事を始めます」「今、終業します」の区切りをタイムカードでハッキリさせ、管理したのです。また、弊社も「誰が何をしているか」を明確にするため、スケジュールカレンダーはしっかり埋めてもらうようにしました。
栗林 desknet’s NEOでいえば、全社通知機能(=インフォメーション)も活用しています。政府からの発信を逐一共有することもそうですが、新商品の説明会を、動画にまとめてインフォメーションに貼りつけて全社共有したんです。物理的にみなが一堂に集まることができないので、新商品の説明動画を埋め込んだ。その時に、ある社員に言われたのが印象的でした。「なんでこれ、今までやらなかったんだろう?」って。全国の社員が集まらなくても、動画なら繰り返し見直すこともできる。「この方がいいよね」って(笑)。弊社ではこれを機に7月からビジネスチャットも活用しています。社内交流が活性化しました。
藤本 チャットという意味でいうと、うちではdesknet’s NEOの「電子会議室」をチャットのように使っています。もともとは本部の人などがウェブ上に会議室をつくって使っていただけでしたが、今では社員も積極的に使っています。各店長による現状報告や売上などの数字関係の共有も始まっています。
――コロナ禍で、人と人が接すること自体にためらいが生まれる時代になりました。ですが、だからこそ新しい取り組みで思わぬ効果も出ているのですね。
藤本 全社的な交流なんて、なかったですからね。ですが、まだまだコロナの影響は続きます。売上も少し戻ってきてはいますが、油断はできません。衛生意識を高め、しっかりやっていきたいです。
栗林 観光は業界全体が厳しいですから、これは個人的なことですけれど、常に上機嫌でいることを心掛けています。ふさいでいても景気はよくなりません。弊社の社長も積極的にメッセージを発信し、社員を励ましています。これから、政府による観光施策も始まります。弊社は今般、「キラ旅」(※1)というアプリもリリースしました。国内旅行の魅力を伝え、お役立ち情報や移動を快適にするサービスを展開するものです。自宅でも旅行気分が楽しめるものにしています。依然、コロナの制約があるなかですが、できることを見つけて、即、実行していきます。
藤本 今が頑張り時ですよね。個人で、グループで、地域で、全社で色々な形のつながりをつくって、社員同士支え合っていきます。従業員マスクも一致団結して立ち向かおうという決意の表明です。テイクアウトの充実や、近くでいえばお中元などのお土産・ギフト(※2)の拡充といった具体策とともに、モチベーションをあげていく施策をこれからも打っていきます。
栗林 同じ思いです。みなで支え合っていきたいです。
――本日は貴重なお話、大変にありがとうございました。

執筆:正木伸城

※1)エース株式会社の旅行お役立ちアプリ「キラ旅」

※2)お中元やお歳暮など贈り物として喜ばれるラーメンギフト

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会社紹介
株式会社ウインズジャパン
所在地:福岡県福岡市博多区
URL:http://www.ikkousha.com/company/
飲食店業・サービス業。博多とんこつラーメン専門店「博多一幸舎(いっこうしゃ)」の経営。2004年、経営を担う入沢元氏、入沢功氏兄弟と、味を究める職人気質の吉村幸助氏3人により創業。2005年福岡市博多区キャナルシティー ラーメンスタジアムへの出店を契機に、一躍人気店となり成長を遂げる。2011年インドネシア ジャカルタに初の海外出店。現在、国内16店舗、海外49店舗を展開。
desknet’s NEO活用事例:https://www.desknets.com/neo/casestudy/8772/

エース株式会社
所在地:東京都渋谷区
URL:https://www.ace.jp/
旅行バッグ、スーツケース、ビジネスバッグ、スポーツバッグ、ファッションバッグ、旅行小物などの製造卸、販売。自社オリジナル、インターナショナル、ライセンスなど約30ブランドによる多角的な商品戦略を推進。2006年米ゼロハリバートン社、2019年手仕事の鞄製造技術で知られる大峽製鞄(株)を子会社化。グローバル展開を視野に、北米、欧州、中国、アジア各国の海外拠点からブランドの魅力を発信している。
desknet’s NEO活用事例:https://www.desknets.com/neo/casestudy/8634/

正木伸城

WRITER

正木伸城

ネオジャパン・マーケティング統括部マネージャーとして、社会・メディア・顧客・ユーザーなどステークホルダー間のリレーション構築を行っている。自社製品活用のケーススタディ取材、ユーザーへのヒアリング経験も豊富。