働き方改革

多能工化によって働き方はどのように変わるのか

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一人の働き手が複数の技術・技能を身につけ、複数の業務に対応する多能工化。現在ではさまざまな職種に広がっています。そのメリットとデメリット、推進するにあたっての企業の課題について解説します。

多能工化推進とその目的

 

多能工化(multi-skill development、またはmulti player)とは、一人の働き手が複数の技術・技能を身につけて、状況に応じて複数の業務に対応できるようにすることを意味します。従来は主に製造・施工現場の技術・技能職において、作業の効率化や業務の繁閑調整などを目的に行われてきました。しかし、現在はサービス業や事務職などでも推進されています。
技術の進歩の加速化、業務内容の多様化や複雑化、かつグローバル競争が不可欠な環境において、競争力を維持・向上するにはますます高度な専門性、スキルのある人材が求められます。その一方で、なぜ相対する概念ともいえる多能工化(兼務工化などを含む)が推進されているのでしょうか。
背景として次のような要因が指摘されます。

 

  1. (1)1995年をピークとした生産年齢人口の減少、職業選択の多様化などを背景に、職場における働き手が大きく減少している。
    参照:総務省「労働力調査」
  2. (2)業務の多様化や複雑化による業務量の増加により、一人あたりの業務量が増加している。
  3. (3)働き方改革も背景に労働時間管理が厳しくなり、一人あたりに投入できる労働時間数に限りがある。

多能工化によるメリット(企業と働き手)

多能工化はもともと企業側からのニーズに基づいて推進されていますが、そのメリットには以下の点が挙げられます。

  • 仕事量を平準化することで特定のスタッフの業務負荷や残業を抑制できる
  • 相互補助によりチームワークの向上につながる
  • 少人数精鋭体制を確立して人材を有効活用できる
  • スタッフ能力のアンバランスを解消できる

一方で働き手のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 複数のスキルを保有し企業のニーズにこたえることで就業上の安定性が確保されやすい
  • 相互に教える・教わることで自らもスキルアップし能力向上につながる
  • 多能工として評価が向上することで報酬増加も期待できる

多能工化によるデメリット(企業と働き手)

導入によるデメリットについても検討する必要があります。
企業側の主なデメリットは、以下の点です。

  • 多能工の育成に時間と費用を必要とする
  • 多能工化を指導できる人材が要る
  • 多能工として評価し相応の報酬を支払う必要がある

一方で、働き手においては以下のようなデメリットを想定できます。

  • 会社の事情により都合良く使われた場合にモチベーションが低下する
  • 複数業務を一人で行うために周囲とのコミュニケーションが希薄化する懸念がある
  • 業務内容が平準化して自分の専門性がなくなり競争上不利になる可能性がある

 
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多能工化の推進は、労働生産性の向上・働き方改革につながるか

 

多能工化の推進は、現在政府が進めている労働生産性の向上、働き方改革にどのように影響するのでしょうか。

 

多能工化への取り組み割合は中小企業の方が高く、特に人手不足感が強い建設業・サービス業において進んでいます。多能工化により工程・職場・業務領域・部署間における繁閑調整が可能となり、業務量の平準化・業務の効率化を図ることができます。したがって、効率的な労働力の投入により生産量を増加させ、労働生産性の向上に資することになります。
また、労働時間の偏りを調整・平準化することで労働時間を抑制し、休暇を取得しやすくなるなどの効果があります。この効果を通じて、働き方改革(ワーク・ライフ・バランス)の推進も期待できるでしょう。
 
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多能工化は働き手の市場価値向上につながるか

 

多能工化によって労働時間や作業量の平準化・業務の効率化・労働生産性の向上が推進されますが、働き手の評価や市場価値は本当に向上するのでしょうか。
それは多能工の評価次第ではありますが、多能工であることの評価は産業・事業内容・部署・職場などによって異なるでしょう。

 

工場の生産現場・作業所・人手を要するサービス業の職場・事務作業などにおいて、多能工化はかなり有効な方法です。一方で専門性を必要とされる職業においては、複数のことに専門性を発揮し市場競争力を得るのはきわめて困難であり、マルティプルであることによって市場評価が低くなる可能性もあります。特に、日本企業型のローテーション人事による人材育成(ある意味多能工化)はその典型ともいわれています。専門性の高い分野においては競争力がなく、グローバルな企業間競争において競争優位性を得ることは厳しいでしょう。
 
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目的と対策を明確にした上での多能工化推進が求められる

企業が多能工化を推進するにあたって、

 

「どのように現場・職場の統制を維持するか」
「多能工として適正に評価し報酬を提供できるか」
「働き手のモチベーションを維持・向上させられるか」

 

などを考慮した運営が求められます。
また、多能工化の推進を成功裏に導くには、労使ともにその導入の目的・対象業務・体制構築までの育成プラン・運営方法・評価体系などを明確にし、双方合意の上で推進する必要があります。その理由は、一方的な導入では働き手の離反につながり、企業としても大きな人的損失を被ることになるためです。
また、近年急速なIT化・AI導入が進んでいて、業務の取扱いが従来とまったく変わってしまう可能性があることも念頭に入れておく必要があります。

 

多能工化が推進されながらも高度な専門職が求められるなど、働き手を取り巻く環境は急速に変わっていこうとしています。そんななかで、キャリアアップに向けどんな選択をするのかは、将来何を求めるかによって変動します。自身のライフプランを描いて目標に向かって取り組むことが重要です。
 
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株式会社クリエイティブ 代表取締役 木下忠夫株式会社クリエイティブ 代表取締役 木下忠夫
各種業種の中堅企業にて海外進出、管理体制・内部統制構築、IPO準備などの業務支援を行う。経営環境の変化が加速するなか、成長が見込まれる会社の支援に取り組んでいる。

WORKSHIFT DESIGN 編集部

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WORKSHIFT DESIGN 編集部

WORKSHIFT DESIGN(ワークシフトデザイン)編集部。 働き方を、シフトする。現場目線で新しい時代の働き方を考えるメディアとして【働き方改革】【リモートワーク/ワークスタイル】【残業削減】【業務効率化】をテーマに記事を執筆しています。