市民開発とは?
ベンダーなしにシステム開発ができるようになる?
自社のシステムについて、社内でどの程度把握できていますか? ベンダーに任せているのでよくわからないという企業も多いかもしれません。ベンダーに任せていれば、専門家が高度なシステムを構築してくれます。しかし、自社にとって重要なシステムをベンダーに丸投げするのは不安という企業もあるのではないでしょうか。
そのような場合に活用できるのが「市民開発」という方法です。ベンダー頼りになっているシステム開発の多くを内製化でき、業務部門の非IT人材も開発に加わることができます。DXを推進する足がかりにもなるでしょう。
本記事では、市民開発の概要とそのメリットや注意点などを紹介します。
市民開発とは
「市民開発」とは、非IT人材である業務部門の社員が、ノーコードツール(※1)やローコードツール(※2)でシステム開発を行うことです。
これまで現場で業務システムを開発する際には、Excelのマクロを組み合わせたごく小規模なものを作るのが主流でした。市民開発なら、より本格的な開発が可能です。
現場のニーズに合ったシステムを開発することができ、より業務のデジタル化が進みます。DXの足がかりにもなるでしょう。
市民開発が注目されている背景
DXの第一歩として、多くの企業で業務のデジタル化が進められています。コロナ禍による在宅勤務の増加でデジタル化の必要性はさらに大きくなっていますが、予算不足やIT人材不足により、なかなか進んでいない企業も多いようです。
そこで業務システムを「市民開発」で開発し、予算不足と人材不足を補いながら業務のデジタル化を進める企業が増えています。
※1、※2 ノーコードツールやローコードツールについては「ノーコードツールで何ができる?自社専用の業務アプリを内製する時代になる」を参考にしてください。
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ベンダーに任せるメリットとデメリット
業務システムについては、これまでは多くの企業がシステム開発と運用・保守管理をベンダーに委託してきました。そこには一定のメリットがありますが、デメリットも多いものです。
メリット
- ・開発作業のほとんどをベンダーに任せることができ、社内では手間がかからない
- ・運用やトラブル対応もベンダーに任せることができ、運用の手間がかからない
- ・システム開発について、専門家の知見やアドバイスを得られる
- ・社内の人材不足を補え、人材育成する必要がなくなる
- ・全体の予算を立てやすい
- ・現在のシステムをうまく維持できる
デメリット
- ・すべてベンダー頼みで、システムの現状がわからなくなる(システムのブラックボックス化)
- ・社内の重要なデータやシステムをベンダーに委託することになる
- ・現在のシステムが本当に現状に適した運用になっているのか判断できない、判断する材料がない
- ・システムを内製するよりもコストがかかる
多くの企業では、業務システムの開発と運用はベンダーに任せきりになっています。それを「手間が省ける」と肯定的に捉える企業も多いです。
しかし、もっと自社で関わる部分を増やしたい、できれば内製化したいと考える企業もたくさんあります。そこで「市民開発」を行う企業が増えているのです。
市民開発のメリットと注意点
ITや業務システムの導入が増え、IT人材が不足しているため、市民開発はこれからも増えると考えられます。そこにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット
ベンダー任せの現状を打破できる
システムを内製すれば、開発プロセスや内容について自社で記録し、その過程やノウハウを社内に残すことができます。それによってシステムのブラックボックス化を防ぐことが可能です。
ベンダーロックインを防ぐことができる
自社で開発すれば、保守運用も自社で行うことができ、ベンダーロックインも防ぐことができます。ベンダーロックインとは、特定のベンダーに依存して利用し続けなくてはならないことです。
IT人材不足問題を解消できる
IT人材でなくてもシステム開発ができるようになり、IT人材不足によるシステム開発の遅れを解消できます。
コストを抑えられる
市民開発はベンダーに払う費用に比べて、コストを大きく削減でき、予算不足によるシステム開発の遅れを解消できます。
開発スピードが速いことが多い
ローコードツールを使えば非IT人材でもスピーディーに開発ができます。ベンダーに発注して開発を待つよりも早くシステムを構築できることも多いです。
現場のニーズに合うシステム構築が可能
現場で直接必要なシステムを構築するので、ニーズに合ったシステムを構築できます。
社内のITリテラシーの向上
非IT人材がシステム構築に携わることで、ITリテラシーが向上します。市民開発とそのシステムの利用が社内に広がれば、全社的にITリテラシーを向上させることが可能です。
注意点
開発者にはトレーニングが必要
ノーコードツールと言ってもプログラミングに関する知識が必要なツールもあります。また、ツールの使い方も覚えなくてはなりません。システム開発前には一定の研修が必要です。
開発したシステムはアップデートが必要
ノーコードツールはかなり頻繁に更新されています。また、開発したばかりのシステムが使いにくかったり、業務の方が変化したりすることもあります。そのため、開発したシステムも必要に応じて更新が必要です。
システムの品質管理が難しい
市民開発では、開発者によってシステムの品質にばらつきがあります。また、セキュリティなど一定の品質が必要な部分については、情報システム部門やベンダーのサポートが必要です。
各部署で個別に最適なシステムが乱立・放置されるリスクがある
現場で個別に必要なシステムを開発していくと、他の部署で作成したものと似たような機能のシステムが乱立するリスクがあります。また、途中で使われなくなって放置されるシステムも発生するでしょう。
業務負荷が高い
現場では、現在の業務に加えて、システム開発と保守運用を行うことになり、業務負担が増す場合も多くなります。
ノーコードツールによる市民開発はDXの第一歩となる
ノーコードツールを使えば、ベンダーや情報システム部門に頼らず、業務部門でシステム開発ができます。つまり、現場のニーズに合ったシステム構築を行うことが可能です。また、多くの企業で不足しているIT人材を補うことができます。
ノーコードツールによる現場でのシステム開発が当たり前になり、全社に広がっていけば、社内のデジタル化はさらに進みます。それと同時に、業務システムに合わせて企業の組織や業務フローの見直しも行われ、社内の変革が進んでいくでしょう。これは「デジタルの民主化」とも呼ばれ、DXの土台となる動きです。
つまり、市民開発の定着がDX推進の第一歩になると言えます。
ノーコードツールの活用事例
ネオジャパン社が提供するノーコード業務アプリ作成ツールの「AppSuite(アップスイート)」によるノーコードツールの活用事例を紹介します。
株式会社 國森様
國森様は、創業50年以上の船舶用部品商社です。社内には古くからノウハウが蓄積されていますが、社員の年齢層も幅広く、システムに不慣れな社員も多いため、業務情報は紙ベースでした。
そこで、機能だけでなく使用感も重視してdesknet's NEOを採用し、業務のデジタル化を進めています。
さらに自社に合わせたアプリケーションを作成するため、2021年よりAppSuiteを導入し、事故返品届、荷受けリスト、新規取引決裁書などのアプリを作成しています。より大掛かりな「部門P/L」アプリの作成も始まりました。
ITに関する高度な知見がなくても、利便性を体感しながら習熟していき、浸透するという良い結果につながっています。
株式会社 國森様の導入事例を見る
株式会社ジェイエスピー様
ソフトウェア開発を行うジェイエスピー様では、事業拡大、社員数増加など企業の成長に合わせて情報共有の環境の見直しが行われました。それまで導入していたのはフリーウェアで、自社でカスタマイズしたものです。しかしこれまでの事業拡大やこれからの社員数の増加に備え、運用に負担がなく、つねに最新バージョンを活用できるクラウド製品への移行が行われました。
受発注システムは3ヶ月の試験導入を経てAppSuiteに移行しています。ノーコードで設定や運用が容易で、運用しながら課題を解決し、改善していけるというのがメリットです。現在はAppSuiteで作成したフォーマットが協力会社やパートナー企業とも共有され、定着しています。
受発注管理だけでなく、データの集計・分析を行うことでさらに活用できると期待されています。
株式会社ジェイエスピー様の導入事例を見る
ノーコードツールについてのおすすめ資料

ノーコードで脱エクセル・業務効率化を実現。AppSuiteユーザー事例集
ユーザー様がAppSuiteをどのように活用しているのかを取材したレポートシリーズ。 ノーコードで脱エクセル・業務効率化を実現したお客様の事例を紹介資料です。
まとめ:市民開発からデジタル化と社内の改革を進め、
DXの推進につなげよう
DXの推進が叫ばれて数年経ちますが、まだまだデジタル化が進んでいない企業も多いようです。多くは予算とデジタル人材の不足が原因と言われています。そこで、市民開発が有効な解決策になります。自社にまだデジタル化していない部分があれば、市民開発によってデジタル化を進め、DXへの土台作りをしていきましょう。
システム開発には多くの時間や予算が必要なイメージがあります。しかし、市民開発なら開発にかかる時間も短く、コストも抑えることが可能です。何より、システムのブラックボックス化を防げるのは大きなメリットでしょう。
それでも現在IT人材が不足している企業では、ノーコードツールを使ってもシステムの内製は不安だと思われるかもしれません。
その場合は、ネオジャパンの「業務アプリ作成ツール AppSuite(アップスイート)」の導入をおすすめします。業務アプリ開発用に用意されたツールで、IT人材でなくてもさまざまな業務アプリを開発することが可能です。さらにグループウェア「desknet's NEO」と連携してより豊富な機能を実現できます。それによって、ベンダーに大きく依存した現状を変えることもできるでしょう。
「業務アプリ作成ツール AppSuite」については、次のEbookも参考にしてください。
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