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最新グループウェア徹底比較コスト編

制作:マイナビニュース

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グループウェアとは?

グループウェアとは、メール/スケジュール/掲示板/ワークフロー/コミュニケーションなど、企業内で情報共有を行うにあたり必要となる各種機能を備えたソフトウェアのこと。社内に散在するさまざまな業務情報・業務処理をグループウェア上で一元管理することで、業務で発生していた非効率を解消するだけでなく、現在さまざまな業種で取り組みが加速しているDX(Digital Transformation:デジタル改革)を推進するための基盤という、新たな役割も担うことが期待されている。製品によって機能の有無やコスト、使い勝手などが異なるため、企業のニーズに応じて最適なものを選ぶことが賢明とされる。

円滑なコミュニケーションや業務効率化、ナレッジの共有など、企業にさまざまな恩恵をもたらしてくれるグループウェア。しかし、コスト負担が大きければDXの推進はおろか、受けられる恩恵すら打ち消されてしまう。選定の際は、ユーザー数や予算のバランスが非常に重要な選定ポイントとなる。ここでは、「desknet's NEO(デスクネッツ ネオ)」「サイボウズ ガルーン」「サイボウズ Office」主要国産グループウェア3製品を対象に、クラウド型とオンプレミス型それぞれのコスト比較を行ってみたい。

\ 各種機能の有無や用途ごとのおすすめまで! /

最新グループウェア比較 機能編

加えて、近年その重要性が取り立たされる現場業務の電子化についても触れ、上記3製品にアプリ開発要素をプラスしたコスト比較も行っていく。なお、料金体系の一覧表には参考として「Microsoft 365」と「Google Workspace」も記載した。

製品名 提供形態 提供元 最新バージョン(提供時期)
desknet's NEO オンプレミス/クラウド ネオジャパン 8.5(2024年3月)
サイボウズ ガルーン オンプレミス/クラウド サイボウズ 6.0 SP2(2024年6月)
サイボウズ Office クラウド サイボウズ 2024年6月版
Microsoft 365(旧:Office 365) クラウド 日本マイクロソフト 非公開
Google Workspace(旧:G Suite) クラウド グーグル 非公開

2024年6月時点の情報に基づいて作成しています。現在の情報と差異がある可能性があります。

比較する価格について

本稿における掲載価格は、各サービスの提供企業が公式発表しているデータを一覧化したものとなる。実際にグループウェアを導入する際、代理店などの中間業者が入ると価格にズレが生じることもあるため、あくまでも参考数値としてご覧いただきたい。

なお、ネオジャパンおよびサイボウズは、いずれも2024年秋頃に各種クラウドサービスの改定を実施する。まずネオジャパンでは、2024年9月1日より「desknet’s NEO」とアプリ開発機能「AppSuite」を利用できるスタンダードプランや、複数サービスのセットプランを新設するとともに、価格体系の変更を行う。またサイボウズでは2024年秋より、各種クラウドサービスの価格改定を実施。月額サービスは同年11月の利用料金から、年額サービスは同年10月発注分から適用となる。ただし、グループウェアの導入検討・選定にはある程度の期間を要するため、本稿では改訂後の価格で比較を行うことで、国産グループウェアでのポジションがどう変わるかについても見ていきたい。 そのほか、「kintone」の最小契約ユーザー数も5ユーザーから10ユーザーへ変更となる。ただし、改訂後の最小契約ユーザー数に満たない既存ユーザーに対しては一定の移行期間が設けられているため、本稿でも一時的に5ユーザーでの比較対象に含めている。

ここでは価格体系の一覧表に加えて、その価格適用時における「初年度・3年・5年」それぞれのコストをユーザー数ごとにグラフと表で比較した。なお、価格はすべて税抜き表記に統一している。

クラウド型とオンプレミス型

各製品の違いを細かく見ていく前に、ここで全体的な傾向について触れておきたい。まずオンプレミス型は、その多くがユーザー数に応じたディスカウント制度を採用している。一方でクラウド型は、ユーザー数に関係なく月額や年額が固定のサービスが多いため、どうしてもユーザー数が増えるほどコスト効率が低下する傾向にある。しかし逆に、ユーザー数が少なければ、こうした影響を受けないことから、中小規模の企業にとってはうれしい選択肢といえよう。

また今回の比較では、現場業務における電子化の需要を満たすうえで、実際にどれくらいのコストが必要になるかの目安として、主要な国産グループウェア3製品にアプリ開発要素をプラスしたコスト比較も実施している。なお、「サイボウズ Office」と「desknet's NEO」は、グループウェアのオプションとしてそれぞれ「カスタムアプリ」と「AppSuite」というアプリ開発機能を有しているが、オプションのない「サイボウズ ガルーン」に関しては参考として別サービス「kintone」の「スタンダードコース」との組み合わせを比較対象としている。

後半では500ユーザー・1000ユーザーにおけるオンプレミス型のコスト比較も実施。初年度以降のサポート料金については、1年ごとの契約更新で算出したものとなっている。確かに複数年契約の場合はある程度の値引きを受けられるが、実際には年度ごとに予算をつけるといった都合から、単年契約を選択する企業の方が多いためだ。オンプレミス型はクラウド型よりも単純比較が難しくなるが、概算費用を算出する際などに役立てていただきたい。

なお、「サイボウズ Office」には10ユーザーから導入できるパッケージ版が提供されていたが、こちらは2021年9月に基本ライセンスの販売を終了。2023年9月にLinux版のサポートが終了し、2027年9月にはWindows版のサポートも終了する予定となっている。これにより、サイボウズでオンプレミス型を選ぶ場合の選択肢は「サイボウズ ガルーン」のみとなった。

【ポイント①】クラウド型でのコスト比較

国産グループウェア主要3製品+アプリ開発機能での比較

1ユーザーあたりの価格体系表(クラウド・初年度)
desknet's NEO サイボウズ ガルーン(クラウド版) サイボウズ Office Microsoft 365 Google Workspace
・ライトプラン
600円/月 または 7,200円/年

・スタンダードプラン
(ライトプラン+AppSuite)
800円/月 または 9,600円/年

・プレミアムプラン
(スタンダードプラン+ChatLuck)
1,000円/月 または 12,000円/年

・チャットプラスプラン
(ライトプラン+ChatLuck)
760円/月 または 9,120円/年
900円/月 または 10,800円/年 ・スタンダードコース
600円/月 または 7,200円/年

・プレミアムコース
(スタンダードコース+カスタムアプリ)
1,000円/月 または 12,000円/年
◇一般法人向け
●Microsoft 365 Business Basic
899円/月 または 10,788円/年

●Microsoft 365 Business Standard
1,874円/月 または 22,488円/年

●Microsoft 365 Business Premium
3,298円/月 または 39,576円/年

◇大企業向け
●Microsoft 365 E3 (Teamsなし)
5,059円/月 または 60,708円/年

●Microsoft 365 E5 (Teamsなし)
8,208円/月 または 98,496円/年
●Business Starter
680円/月 または 8,160円/年

●Business Standard
1,360円/月 または 16,320円/年

●Business Plus
2,040円/月 または 24,480円/年

●Enterprise
別途問い合わせ

5ユーザー 比較表

100ユーザー 比較表

500ユーザー 比較表

今回比較した国内産のクラウド型グループウェアは、価格改定によりいずれも完全定額制となったため、ユーザー数の増加によるディスカウント効果はない。アプリ開発機能を含めた場合の比較では、「AppSuite」を含む「desknet's NEO」のスタンダードプランがもっとも低コストとなった。「サイボウズ ガルーン」と「kintone」のスタンダードコースの組み合わせは、ほかの2製品と比べて価格の開きが大きく、特に「desknet's NEO」との比較では3倍以上もの差がついている。

国産グループウェア主要3製品の比較(アプリ開発機能を含めない場合)

5ユーザー 比較表

100ユーザー 比較表

500ユーザー 比較表

比較表

初年度コスト 比較表
ユーザ数 desknet's NEO
(ライトプラン)
サイボウズ Office (スタンダードコース) サイボウズ ガルーン
5ユーザー ¥36,000 ¥36,400 ¥54,000
100ユーザー ¥720,000 ¥720,000 ¥1,080,000
500ユーザー ¥3,600,000 ¥3,600,000 ¥5,400,000
利用3年目コスト 比較表
ユーザ数 desknet's NEO
(ライトプラン)
サイボウズ Office (スタンダードコース) サイボウズ ガルーン
5ユーザー ¥108,000 ¥108,000 ¥162,000
100ユーザー ¥2,160,000 ¥2,160,000 ¥3,240,000
500ユーザー ¥10,800,000 ¥10,800,000 ¥16,200,000
利用5年目コスト 比較表
ユーザ数 desknet's NEO
(ライトプラン)
サイボウズ Office (スタンダードコース) サイボウズ ガルーン
5ユーザー ¥180,000 ¥180,000 ¥270,000
100ユーザー ¥3,600,000 ¥3,600,000 ¥5,400,000
500ユーザー ¥18,000,000 ¥18,000,000 ¥27,000,000

アプリ開発機能を含めない場合の比較では、「サイボウズ Office」のスタンダードコースと「desknet's NEO」のライトプランが同額で、こちらも「サイボウズ ガルーン」との差が顕著に表れている。

【ポイント②】オンプレミス型でのコスト比較

1ユーザーあたりの価格体系表(クラウド・初年度)
desknet's NEO (パッケージ版) サイボウズ ガルーン (パッケージ版)
・基本ライセンス
ユーザー数:基本ライセンス/年間サポート(2年目以降/年)
5ユーザー:75,000円/18,000円
10ユーザー:100,000円/18,000円
20ユーザー:150,000円/18,000円
30ユーザー:200,000円/45,000円
50ユーザー:250,000円/45,000円
100ユーザー:500,000円/90,000円
200ユーザー:1,000,000円/140,000円
300ユーザー:1,500,000円/180,000円
400ユーザー:2,000,000円/270,000円
500ユーザー:2,500,000円/360,000円
600ユーザー:3,000,000円/450,000円
700ユーザー:3,500,000円/540,000円
800ユーザー:4,000,000円/630,000円
900ユーザー:4,500,000円/720,000円
1,000ユーザー:4,760,000円/760,000円
1,500ユーザー:5,310,000円/810,000円
2,000ユーザー:5,900,000円/900,000円
3,000ユーザー:7,080,000円/1,080,000円
5,000ユーザー:8,850,000円/1,350,000円
7,000ユーザー:10,620,000円/1,620,000円
10,000ユーザー:12,390,000円/1,890,000円
無制限ユーザー:15,340,000円/2,340,000円

※基本ライセンスには、初年度の年間サポートが含まれる。
・新規ユーザーライセンス
ランク ユーザーライセンス数
基本ユーザーライセンス(新規・追加)
A ~50ユーザー 600,000円/50ユーザー
B 51~249ユーザー 11,000円/1ユーザー
C 250~499ユーザー 10,000円/1ユーザー
D 500~999ユーザー 9,000円/1ユーザー
E 1,000~2,499ユーザー 8,000円/1ユーザー
F 2,500~4,999ユーザー 7,500円/1ユーザー
G 5,000~ 別途問い合わせ

・継続サービスライセンス
ランク ユーザーライセンス数
継続サービスライセンス1年分
A ~50ユーザー 120,000円/50ユーザー
B 51~249ユーザー 2,200円/1ユーザー
C 250~499ユーザー 2,000円/1ユーザー
D 500~999ユーザー 1,800円/1ユーザー
E 1,000~2,499ユーザー 1,600円/1ユーザー
F 2,500~4,999ユーザー 1,500円/1ユーザー
G 5,000~ 別途相談
価格体系表(オンプレミス・初年度) ─ オプションほか付属パッケージ
AppSuite kintone
・基本ライセンス
ユーザー数:基本ライセンス/年間サポート(2年目以降/年)
5ユーザー:60,000円/14,400円
10ユーザー:80,000円/14,400円
20ユーザー:120,000円/14,400円
30ユーザー:160,000円/36,000円
50ユーザー:200,000円/36,000円
100ユーザー:400,000円/72,000円
200ユーザー:800,000円/108,000円
300ユーザー:1,200,000円/144,000円
400ユーザー:1,600,000円/216,000円
500ユーザー:2,000,000円/288,000円
600ユーザー:2,400,000円/360,000円
700ユーザー:2,800,000円/432,000円
800ユーザー:3,200,000円/504,000円
900ユーザー:3,600,000円/576,000円
1,000ユーザー:3,808,000円/608,000円
1,500ユーザー:4,248,000円/648,000円
2,000ユーザー:4,720,000円/720,000円
3,000ユーザー:5,664,000円/864,000円
5,000ユーザー:7,080,000円/1,080,000円
7,000ユーザー:8,496,000円/1,296,000円
10,000ユーザー:9,912,000円/1,512,000円
無制限ユーザー:12,272,000円/1,872,000円

※基本ライセンスには、初年度の年間サポートが含まれる。
・ライトコース
1,000円/月 または 12,000円/年

・スタンダードコース
1,800円/月 または 21,600円/年

・ワイドコース
3,000円/月 または 36,000円/年

※いずれもコースも最小契約は10ユーザー~

国産グループウェア主要2製品の比較

500ユーザー 比較表

1000ユーザー 比較表

国産グループウェア主要2製品+アプリ開発機能での比較

500ユーザー 比較表

1000ユーザー 比較表

オンプレミス型に関しては、「サイボウズ ガルーン」と「desknet's NEO」で初年度からかなり大きな差が見られた。同条件でいずれも2倍弱の差があるほか、「サイボウズ ガルーン」の500ユーザーと、「desknet's NEO」の1000ユーザーで比較しても、かなり近しい価格となっている。

アプリ開発機能との組み合わせについては、前述の通りオプションとして用意されているのは「サイボウズ Office」と「desknet's NEO」の2製品だが、オンプレミス型として提供されているのは「desknet's NEO」のみ。加えて、オンプレミス型「AppSuite」の場合は「desknet's NEO」のユーザー数とは別に5ユーザー以上から契約/購入できるため、限られた部署でのみアプリ開発機能を使いたいような場合にも効果的といえる。
また、参考として比較した「サイボウズ ガルーン + kintone(スタンダードコース)」の組み合わせは、クラウド型限定でのみ提供されており、オンプレミス型での導入ができない点は抑えておきたい。ユーザー情報などの連携に関しても、クラウド版の「サイボウズ ガルーン」と組み合わせた場合にのみ対応する。

最新グループウェア徹底比較 コスト編 総論

今回行ったコスト比較では、「desknet's NEO」の優位性が際立つ結果となった。もちろん、グループウェアを選ぶ際には価格だけでなく、機能の有無や利便性など、ほかにも選定の際に重視する点は多くある。なかでも現場での使い勝手はとくに留意すべき項目で、いくら高機能でも使われなければ、コストの面からも宝の持ち腐れとなりかねない。

なお、機能編でも言及した通り各サービスともクラウド型が主体となっているが、ランニングコストやセキュリティなどの関係から、オンプレミス型を検討するケースもあるだろう。こうした側面から見ると、現時点でオンプレミス導入に対応しているのは「desknet's NEO」と「サイボウズ ガルーン」のみ。さらに、同一ツール内におけるアプリ開発機能の利用や、部分的なクラウド活用、たとえばMicrosoft 365の機能も一部利用したいとったケースも想定すると、選択肢は「desknet's NEO」のみとなる。

また、製品選定時にクラウド型とオンプレミス型のどちらを選択すべきかは、コストの側面からも重要なポイントといえる。たとえば、小規模な事業所、部署単位での導入であれば、少ないユーザー数からでも柔軟に導入できるクラウド、逆に大規模な企業での全社的な導入といった場合にはオンプレミスといった具合に、自社のニーズと導入規模、用途に合った機能とコストのバランスを考える――これこそ、グループウェアを選定するうえで最も重要なポイントといえるだろう。

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