オンプレミス回帰とは?
その背景とITインフラの選び方
クラウドへの移行が進む一方で、再びオンプレミスへ回帰する動きが注目されています。近年は円安やセキュリティ要件の高度化などの影響により、クラウドの利用コストが増大しているとの声が聞かれます。こうした背景からクラウドとのハイブリッド化やオンプレミスへの再移行のメリットが再評価されています。自社が求めるパフォーマンスや運用形態を正しく把握することで、最適なインフラ選択への道が開けるでしょう。
本記事では、クラウドからオンプレミスへの回帰を行う意味やその背景、またオンプレミスとクラウドを比較する際に着目すべきポイントを解説します。組織独自のセキュリティ要件やコスト構造も含め、どのようにインフラを組み立てるかが企業の競争力を左右します。ぜひ最後までご覧いただき、今後のITインフラ選択のヒントとして役立ててください。
オンプレ回帰とは
オンプレ回帰(オンプレミス回帰)とは、クラウド環境で運用していたシステムを再び社内に設置したオンプレミスの環境に戻す動きを指します。
オンプレミスは、企業が自社にサーバやネットワーク機器を設置し、システムを運用・管理する形態のことです。
クラウドの利便性に押されて一時期はオンプレミスの稼働環境が縮小される傾向が見られましたが、近年になって再びオンプレ環境を選択する企業も増加してきました。セキュリティ強化やカスタマイズ性、システムコントロールのしやすさなどが、回帰の背景として挙げられます。
この動きはクラウドのデメリットが顕在化し始めたこともきっかけの一つです。例えば、従量課金によるクラウド利用料の変動や障害発生時の責任範囲などは企業によってはリスクと感じられる場合があります。オンプレミス回帰が進むことで、企業独自の要件にも対応しやすくなり、運用コストやセキュリティ施策を自社判断で最適化しやすくなるのが特徴です。
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オンプレ回帰が注目される理由
近年、多くの企業でオンプレミスへの回帰が選択肢の一つとなっています。背景にはさまざまな要因が考えられます。
クラウド導入当初は、リソースを必要な分だけ利用できる柔軟性や、初期投資の軽減といったメリットが前面に押し出されていました。しかし運用が進む中で、従量課金ゆえのコスト予測難やデータ管理の複雑化など、クラウド特有の課題も明るみに出てきました。こうした状況に対してオンプレミスであれば、将来の負荷を見越した設備投資を行い、自社でコントロール下に置くことができる点が魅力となっています。
また、企業のデータ活用の方法が高度化していることもオンプレミス回帰の理由として挙げられます。機密性の高いデータを扱う企業や、厳格な法制度やコンプライアンスに従わなければならない業界では、クラウド上での運用に不安を感じるケースがあります。そうした場合でも、自社内でセキュリティ構築を完結できるオンプレミス環境は、管理や運用の自由度を保ちながらリスクをコントロールしやすいという強みを発揮します。
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クラウド利用における課題とリスク
クラウドサービスは使った分だけ料金を支払う従量課金モデルが主流ですが、予期せぬトラフィック増加や高負荷状態が続いた場合、月々のコストが想像以上に膨らむことがあります。過去には大規模障害が発生した際の対応範囲が曖昧だったケースもあり、自社の信頼性と顧客のサービス継続を重視する企業にとって懸念材料となります。こうしたリスクを抱えながらクラウドに依存するほど、事後対応の難易度が増すため、オンプレミスの再検討が進む背景ともなっています。
生成AIの普及とデータガバナンスの重要性
近年では生成AIや大規模言語モデルを活用したサービスが脚光を浴びていますが、これらを運用するうえでデータ管理やガバナンスの強化が不可欠です。外部クラウド環境に企業機密や機械学習モデルを置くリスクを避けたい場合、オンプレミス環境であればデータの所在や取り扱いを社内の基準に即して厳格に管理できます。高いレベルのセキュリティ要件を満たさなければならない業界では、特にオンプレミスでの運用が見直されるきっかけとなっています。
ただし、クラウドであっても、利用者ごとに単独で生成AI環境を専有できる方式であれば、外部に情報が漏洩させることなく安心して利用ができます。それぞれのサービスで用意されているプランを調べておくことをおすすめします。
高まるセキュリティ要件とコンプライアンス
企業の情報資産を狙うサイバー攻撃が増える中、規制や監査基準の厳格化が進んでいます。特に金融や医療など機密性の高い情報を扱う業界では、クラウドプロバイダーとの契約だけでは十分なセキュリティが確保できないと判断されるケースも少なくありません。オンプレミスに回帰することで、独自のセキュリティポリシーを徹底し、規制要件に応じた柔軟な運用を実現できる点が注目されているのです。
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オンプレミスとクラウドの比較ポイント
オンプレミスとクラウドにはそれぞれ特性があり、導入企業の状況に応じた選択が重要となります。
最適なITインフラを選ぶためには、技術面やコスト面だけではなく、運用体制や組織の人材状況といった要因も総合的に検討する必要があります。例えば、新規プロジェクトで市場投入のスピードを重視する場合、初期導入が比較的容易で拡張しやすいクラウドの利点は大きいでしょう。反対に、長期的な運用コストや独自のサービス要件を重視するケースでは、オンプレミスの制御性が大きな強みを発揮します。
また、災害復旧(BCP)やバックアップ計画などの運用リスク対策も、導入形態によって大きく異なります。クラウドでは地理的に分散されたデータセンターを活用しやすい一方、オンプレミスでは設計次第で柔軟に復旧方法を組み立てられるメリットがあります。ハイブリッド構成やマルチクラウドの併用など、企業のニーズに合わせて選択肢が増えているのも特徴です。
オンプレミス利用のメリット・デメリット
オンプレミスを利用する最大のメリットは、自社が全てをコントロールできる点にあります。セキュリティポリシーを細かく設定し、物理的なアクセス制御を行えるため、機密情報を扱う部署でも安心して運用しやすいでしょう。一方で、導入時にサーバや機器を購入する初期投資が必要となり、保守・運用コストも長期的には掛かるという点はデメリットとして挙げられます。
オンプレミス利用のメリット
オンプレミスならシステムのカスタマイズ性が高く、企業独自の要件や特殊なワークロードにも柔軟に対応できます。障害が発生しても自社のIT担当者が直接ハードウェアにアクセスし、迅速な復旧を図れる点も利点です。機密性の高いデータを内部で一括管理することで、セキュリティ標準や規制への準拠を細部まで徹底することが可能となります。
オンプレミス利用の懸念点
クラウドのように必要なときにスケーリングできる柔軟性は期待しにくく、事前にサーバ容量を見積もったうえで設計を行う必要があります。加えて、ハードウェア障害が発生した際のアフターサポートや予備機材の確保、セキュリティアップデートへの追従など、日常的な運用負荷が膨らむ可能性があります。専門的な知識を持つ人材の確保と育成が不足していると、トラブル発生時の対応に苦労する恐れもあるでしょう。
コストとパフォーマンスの違い
コスト面では、クラウドは利用した分だけ支払う方式のため、小規模かつ変動の激しいプロジェクトには相性が良いといえます。一方、長期的な視点で大規模に運用する場合は、オンプレミスを資産として所有し続けたほうが総コストを抑えやすい場合があります。パフォーマンスにおいても、オンプレミスでは社内ネットワークを利用できるため、クラウドよりも低遅延が期待できるケースがあるのです。
オンプレ回帰 今後の展望
クラウドとオンプレミスを使い分けるハイブリッド構成の普及など、今後も多様な展開が予想されます。
一部の企業はミッションクリティカルなシステムはオンプレミスで、データ解析やAI活用といった分野はクラウドでといった形で、使い分けを進めています。これにより、それぞれの強みを最大限に引き出しつつ、全体的なコストやセキュリティリスクを分散できるメリットがあります。オンプレミス回帰といっても完全にクラウドを排除するわけではなく、最適なバランスを模索する企業が増えているのが現状といえるでしょう。
また、最新のハードウェア技術の進歩により、オンプレミス環境でもスケーラビリティの向上や自動化がしやすくなっています。機械学習の処理速度向上や高性能なストレージの導入など、オンプレミスでも積極的にイノベーションを取り入れることで、クラウド環境と同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮できるケースもあるでしょう。企業のビジネス戦略や技術力に合わせて、オンプレミスとクラウドの融合がさらに進展すると予想されます。
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まとめ:組織に合わせたITインフラを選択しよう
クラウドだけ、オンプレミスだけといった単一の選択ではなく、それぞれの長所を活かした柔軟なインフラ設計が必要です。
オンプレミス回帰は単にクラウドからの後退というわけではなく、企業が必要とするセキュリティ水準やコスト管理、データ管理の最適化といった観点での戦略的な選択ともいえます。特に機密性の高い情報を取り扱う機関や、予測しにくいクラウド利用コストが経営を圧迫する可能性のあるケースでは、オンプレミスを再評価する理由が確かに存在します。組織独自の要件を満たすためには、クラウドとオンプレミスの機能を上手に組み合わせる柔軟性が今後も求められます。
IT環境は日々進化しており、クラウドサービスも多様化と成熟化を続けています。一方で、オンプレミスの存在意義も改めて見直されているのは、企業ごとの事情や規制に合わせた運用を実現できる利点が大きいからです。自社の課題を正確に把握し、最新の技術動向も踏まえながらベストなインフラを選択することが、ビジネスを持続的に成長させるための重要なポイントとなるでしょう。
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