ツカサホールディングス株式会社
様の導入事例
全国約150拠点・月4万件もの膨大な物流データを一元化。“現場の声”を反映し、請求漏れの防止と請求書発行の負荷を大幅軽減。
ツカサホールディングスは2025年に創業55周年を迎える、全国約150拠点・1,900台以上の車両を保有し、物流事業を展開する企業です。創業当初はトヨタ自動車の部品物流を中心としていましたが、EV化による自動車部品の減少により、運搬需要にも影響があることを見据え、十数年前から一般貨物物流中心へと転換しました。現在では売上の約半数を一般貨物が占め、着実に成長を続けています。
今回、月4万件にもおよぶ荷物集荷依頼から請求書発行までに発生する膨大なデータをDX化した画期的な業務改革についてインタビュー。「第1回AppSuite AWARD 2025」でグランプリを受賞した物流業務のDXについてご紹介します。
<お話を伺った方>
全国約150拠点で集荷依頼から請求書発行まで運用がバラバラ。
属人化した情報を一本化したい。
ツカサホールディングスでは、全国約150拠点で集荷依頼管理から請求書発行まですべてのプロセスが属人化しており、月4万件にもおよぶ物流情報を営業所ごとに管理していました。「膨大な物流情報を一本化したい――」。同社の会長は、社内で抱えるさまざまな経営課題に対処する組織の必要性を感じ、経営直下の組織として経営支援室を6年ほど前に立ち上げました。
経営支援室の責任者を任された山本様は、「情報の一本化以外にも課題がありました。忙しいときに請求書の起票を忘れると、売上を取りこぼしうる状況があったのです。正直、実際にどれほど漏れがあるのかさえ、把握するのも難しい状況でした。」と振り返ります。また、経営層が全体の正確な売上を把握できるのは、経理データが集まった後で、リアルタイムでの経営判断が難しいことも課題でした。
それに加え、社内では営業所で勤務する担当者たちのスケジュール管理をしておらず、ホワイトボードもなかったため、所在確認に時間を要することもありました。そこで経営支援室は、まず現場の業務内容を理解し、違和感なく使ってもらえるシステムの導入を目指すことにしたのです。
ITスキルがバラバラでも使いやすい製品を。膨大な物流データをDX化し、業務効率化できるノーコードツールの存在が大きかった。
属人化した業務の見直しや社内情報を一元管理できる仕組みの必要性が高まり、早速、経営支援室ではそれらを解決できそうなグループウェアの検討を開始しました。どのシステムを導入するにしても、経営者に提案するには、まず自分が使いこなせることが前提だと考えたという山本様。「前職で他社グループウェア製品を利用したことがあったので、導入にあたってはdesknet’s NEOのみトライアルしました。2019年にdesknet’s NEOを試用し、社内情報の一元管理が可能だと思えました。それにAppSuiteを実際に触ってみて“自分でも作れそう”と実感が持てたのです。実はノーコードツールのAppSuiteが業務改善に使えそうというのが選んだ一番の理由でした」(山本様)
1カ月ほどの試用期間を経て、「ITリテラシーにばらつきがあっても使いやすく、費用対効果も高い」と確信し、経営層へと提案。2021年3月に導入が決定されました。
導入プロセス
2019年12月
desknet’s NEOのAppSuiteを1カ月間テスト運用
2021年3月
desknet’s NEOを導入、運用開始
AppSuiteで業務改善と社内情報の一元管理を実現。
関連するデータを一画面にまとめたことで、ユーザーがわかりやすいインターフェイスに。
1)[AppSuite](売上請求アプリ)
月4万件にもおよぶ集荷依頼情報の一元管理を実現。
営業所で作成が必要なあらゆる請求書パターンに対応し、発行工数を削減。
2022年の夏にスタートした『売上請求アプリ』は、まず1.「伝票管理」2.「(仮)取引先管理」3.「データ管理」の3つから始まりました。現場が混乱しないよう、機能を絞って段階的に導入していったといいます。アプリを開発した水戸様は「最初から多機能にすると現場がついてこられなくなるので、まずは“伝票を作る”ことに必要な機能からリリースしました」と振り返ります。
1.「伝票管理」
2.「(仮)取引先管理」
営業所で使用する取引先の情報や、新規での取引先本登録が済んでいない企業情報を登録できます。同社では、対応した顧客の営業所・事業部へ直接請求するケースがあり、本社経理が管轄している取引先データを使用できないことがあります。また、新規取引先を登録する書類が経理宛てに月1000件以上も上がってきます。当然、経理側の正式登録には時間を要するため、この登録を待つ間でも対応できるようにしました。
3.「データ管理」
これまでさまざまな工夫を重ね、作り上げてきたアプリですが、実際に現場に定着するまでには多くの苦労がありました。経営支援室は現場の声を拾い上げるため、まず本社と岐阜営業所の2拠点を回り、荷物の集荷依頼から請求書発行までの業務プロセスなどについて調査。すると、顧客それぞれに合った請求書を発行するのに業務負荷が大きくかかっていることが判明しました。
水戸様は、「インプットとアウトプットを把握して、あらゆるパターンの請求書を作れるようにアプリを作り込んでいきました。普及活動の一環として、オンラインで各営業所の人たちに説明会を実施しましたが、最初はなかなか使ってもらえませんでした。」と話します。「そこで3カ月間ほどかけて、20〜30カ所の営業所を回り、“なぜ使ってもらえないのか”を一つひとつ丁寧に聞き取りました。今でも定着のために営業所回りは続けています」(山本様)
顧客によって請求書の形式が異なる実情を踏まえ、改修と説明を地道に重ねた結果、アプリを使用する必要がある営業所の93%で活用されるようになりました。これまでの登録件数は10万件近くにも上ります。ノーコードツールによる業務改革の基盤が、現場との対話を通じて、少しずつ着実に築かれていったのです。
2)[AppSuite](中ロット荷物情報アプリ)
Googleマップとの連携、荷物情報のリアルタイム取得、バーコード生成にも対応。中ロット荷物の情報をリアルタイム共有
さらに、Googleマップと連携して料金計算を自動化。集荷先の市区町村を入力するだけで、対応する営業所の情報が自動表示され、料金を確認できる仕組みも整備しました。
現在は『幹線トラック登録』アプリの開発も進めており、将来的には荷物情報とトラック情報を連携し、「この荷物とこのトラックを組み合わせよう」というように積み合わせ混載管理まで可能にする構想を描いています。AppSuiteを活用した現場主導の進化が、物流の効率化と環境負荷の軽減の両立を後押ししているのです。
3)[AppSuite](車両管理アプリ)×[つぶやき(ネオツイ)機能]
車両の管理もAppSuiteで一元化し、営業所間で予備車両を有効活用。呼びかけにネオツイを活用。
また、つぶやきには、ニュースのようなものも掲載しています。
「静岡県の袋井市に弊社が所有しているエレベーターの試験塔があります。現在、塗装・看板工事が行われており、その様子も共有されていて社内コミュニケーションも活発化しています」(山本様)
4)[インフォメーション]
全営業所に向けて社長からのメッセージを発信。
会社の方向性や思いを伝えられるようになった
全社への情報発信を強化するために活用しているのが「インフォメーション」機能です。
5)[文書管理]
文書管理をファイルサーバーのように活用。書類の所在が「見える化」された。
フォルダの管理は経営支援室が統括していますが、運用は各営業所の裁量に任しており、現場の柔軟な活用を妨げない設計となっています。
水戸様がこれまで作成されたアプリは、今後使う可能性があるアプリだけで164件にも上ります。「アイデアがあれば、ツールでどうすれば実現できるか考えるだけ。何よりもやりたいことがしっかりとあるのが大切です。」と水戸様は語ります。
「日々突発的にアイデアが出てくるので、アイデアをどんどん形にしていこうと思います。例えば、倉庫管理のアプリ。Excelベースでやり取りしているデータを、コマンドラインツールを使ってデータの引渡しを効率化できる仕組みをつくれないかと考えています。」
水戸様は今後もAppSuiteでさまざまなアプリを作っていこうと意気込みを語ってくれました。
ご担当者のコメント
事業概要
ツカサホールディングスは、全国約150拠点、1,900台以上の車両を擁し、全国で物流ネットワークを展開する企業です。これまで自動車部品の運搬から一般貨物物流へと事業領域を広げ、現在は売上の半数以上を占めるまでに成長しています。時代の変化を先取りしながら、社会とともに歩む企業として、ウィンドサーフィン・「TSUKASAジャパンカップ」やラグビーチーム「トヨタ自動車 VERBLITZ(ヴェルブリッツ)」への協賛など、スポーツ支援にも力を注いでいます。
すべての機能は今すぐ無料で
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- 横浜本社 045-640-5906
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- 福岡営業所 092-419-7277
最初はなかなか使ってもらえず、社内定着には苦労しましたが、水戸課長が改良を重ねた結果、現場からは「請求書発行の工数が極端に少なくなった」との声も聞かれるようになりました。月末はお客様別に請求書を作成する必要があったのが、条件を選んでデータをエクスポートするだけになり、かなり作業負荷が減ったそうです。これからも現場で使ってもらえるようなDXを推進していきたいと思います。
また、これから先ドライバーさんが減っていくと言われていますが、そうした厳しい状況になっても対応できるように『中ロット荷物情報』アプリをうまく活用して、積み合わせ混載を自動化できるようになることを目指していきたいです。
せっかくいいアプリを作っても、使ってくれなかったら意味がないので、現状の業務を把握しながら、入力なども違和感なく行えるインターフェイスを意識してアプリ作成を行ってきました。アプリを開発してほしいという依頼に対して、分からないことはネオジャパンのサポートセンターに電話するなどし、試行錯誤しながら、営業所で使ってもらえるアプリを作っています。
以前はExcelで管理していたドライバーの労働時間を管理するアプリも作り、ハンドル時間や休憩時間を、月ごとや年間での集計も可能にしていました。今後も、現場で必要とされる業務改善や効率化のアイデアは、AppSuiteで形にしていきたいです。