最新グループウェア徹底比較 機能編 制作:マイナビニュース

グループウェアとは?
グループウェアとは、メール/スケジュール/掲示板/ワークフロー/コミュニケーションなど、企業内で情報共有やコミュニケーションを円滑に行うために必要となる各種機能を備えたソフトウェアを指す。製品によって機能の有無やコスト、使い勝手などが異なるため、企業のニーズに応じて最適なものを選ぶことが求められる。

もっと効率的な情報共有 グループウェアdesknet's NEO

情報共有を通じて、企業の業務効率化やビジネススピードの向上が図れる「グループウェア」。従来は自社内にサーバをー設置するオンプレミス型が主流だったが、昨今ではインターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるクラウド型のニーズが急増している。クラウド型はサーバのイニシャルコストがかからないことに加え、「短期間で構築できる」「ユーザー数の増減にも柔軟に対応できる」といった点も大きな魅力だ。本稿では、「Microsoft Office 365」「Google Apps for Work」「サイボウズ ガルーン 4」「サイボウズ Office 10」「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」という国内外を含む5つの主要なクラウド型グループウェア製品に関して、機能面の違いを比較してみたい。

製品名 提供形態 提供元 発売/開始時期
Microsoft Office 365 クラウド 日本マイクロソフト 2011年6月
Google Apps for Work クラウド グーグル 2007年2月
サイボウズ ガルーン 4 オンプレミス/クラウド サイボウズ 2014年12月
サイボウズ Office 10 オンプレミス/クラウド サイボウズ 2013年10月
desknet's NEO V3.5(desknet'sクラウド) オンプレミス/クラウド ネオジャパン 2016年1月

※2016年1月時点の情報に基づいて作成しています。現在の情報と差異がある可能性があります。

グループウェア選定時のポイント

グループウェアが急速に普及し始めたのは1990年代のこと。当時は莫大な導入コストや運用面でのノウハウが必要なこともあり大企業での利用に限定されていたが、低価格化に伴い現在では中小規模の企業でも広く使われるようになった。ビジネススピードの加速に加えて、企業が取り扱う"情報の量と価値"が増大したことも、グループウェアの普及に拍車をかけている。さらに、グループウェアが動作するシステム環境についても変化が見られる。

旧来は自社内にサーバを設置するオンプレミス型が主流だったのに対し、近年はクラウド型の需要が大幅に拡大しているのだ。「重要な情報は社内で保管・管理すべき」「情報を社外に預けるのは危険」と考える傾向が強い日本企業においても、オンプレミス型からクラウド型への移行が進んでいるが、その最たる理由はクラウドの信頼度が上がってきた点にある。

クラウド事業者が熾烈な市場競争を繰り返す中で、セキュリティや可用性に関する技術が大幅に向上している。また、大手企業を含む数多くの導入事例が出始めてから、クラウド型に対して安心感・信頼感を抱く企業が急増した。東日本大震災以降は、災害時発生時に備えるBCP対策としての有効性に注目する企業も多くなっているといえよう。ただし、金融系に代表されるような、重要情報を第三者のサービスに託せない企業が存在するのもまた事実。こうした需要にも対応するべく、一部のベンダーではオンプレミス型とクラウド型の両方をリリースしている。

ここまで述べてきた理由から、グループウェアは現在、オンプレミス版、クラウド版ともに実に数多くの製品・サービスが市場で提供されている。しかし、選択肢が増えた一方で企業としては、新たな問題が発生している。「製品・サービスが多すぎて、どれを選べば良いか分からない」という声が多く聞かれるようになったのだ。

製品・サービス選びで迷った場合、まずはグループウェアの本質を考えてみていただきたい。グループウェアの本質とは、単なる"メールやスケジュールの管理ツール"ではなく、"社内の情報共有を総合的に解決するツール"であるということ。その上で、使い勝手を重視するなら機能が絞り込まれたシンプルなUIのものを、情報共有の幅をより広げたいのであれば多機能なものを選ぶと良いだろう。ただし、いずれの場合も"使い続ける"ことが重要となるため、ユーザーである社員のITリテラシーや、情報システム部門の知識・スキルに応じて選ぶことが求められる。

ここからは、企業におけるグループウェア選定の参考となるよう、主要ベンダーが提供する製品・サービスの機能比較を行いたい。前述の通り、グループウェアはオンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられるが、今回は近年特に需要が増し、さまざまな規模の企業に対応できるクラウド型に絞って紹介する。

国産グループウェアと海外製グループウェア

グループウェアは、国産と海外製で特徴に差が見られるが、これは国や文化圏によって商慣習が異なることを背景としている。機能比較の前にまずは、国産と海外製の大まかな特徴差異を見ていきたい。

まず国産グループウェアは、メールやスケジュール管理といった基本機能に加え、掲示板や回覧などの機能が日本企業に最適化された状態で備わっているのが特徴だ。海外製と比べ日本の商慣習にマッチしており、実際の利用シーンもイメージしやすいため、日常業務でもより細かい使い分けが可能だ。

一方の海外製グループウェアについては、汎用性の高い機能を備える傾向が強い。運用の工夫やカスタマイズによって国産と似たような、もしくは国産以上の使い方ができる製品・サービスもあるが、応用の幅や利便性が日本のそれとは異なっていたり、情報システム部門の知識・スキルに依存するような点も出てくるので、事前に確認しておきたいところだ。

グループウェアを使う上では、それを「導入するだけで自動的に業務が効率化される"魔法の箱"『ではない』」と捉える意識も重要といえる。どんなに優れたグループウェアも、有効に活用されなければ予算の無駄になってしまう。必要な機能を備えているか、という単純な面だけでなく、その機能が自社の業務環境に合っているか、現場目線で使い勝手が良いかなど、実際に利用し続けられるかを考えて選定する必要がある。

こうした点も踏まえて、本稿の機能比較では、単なる機能の有無にとどまらず、項目によっては一歩踏み込んだ詳細情報まで比較していくことにしたい。

【機能比較】基本機能・アプリケーション

"社内の情報共有を総合的に解決するツール"に求められる機能のうち、ここではグループウェアの基本的な機能としていずれの製品にも備えられており、そのコンセプト自体にも大きな差異が見られない機能を「基本機能」とした。なお、機能がある場合には「○」、無い場合には「×」、オプションや拡張、開発などで実装できる場合は「△」としている。

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系 短評
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
スケジュールの共有・管理 個人向けのスケジュール管理では予定入力のしやすさや一覧性が重視されるが、グループウェアの場合はこれに加えて部署やチーム内でメンバーのスケジュールを共有する機能が求められる。相手のスケジュールを確認できるのはもちろん、空き時間を見つけてダイレクトに会議の招待通知を送付したり、繁忙期などは一時的に他人の予定を表示・非表示できるような機能も便利だ。
共用設備の予約管理 会議室やプロジェクター、社用車といった企業の共有資産・設備は、複数社員で使うことが前提となる。これらを効率良く活用するために必須なのが共用設備の予約管理だ。注目点としては、入力や閲覧のしやすさに加えて、即時反映によって重複予約を防ぐリアルタイム性などが挙げられる。Google Appsについては、管理者側のリソース追加によりGoogleカレンダーから共有・管理が可能だが、あくまでも「人」のスケジュール管理と同列扱いで、設備予約に特化したものではないことから「△」とした。「ガルーン 4」や「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」では、予約期間や連続予約時間に制限をかけられるといった特徴もある。
メールの管理・送受信 いまやメールは、社内外との連絡手段として必要不可欠なものとなっている。この極めて重要なメールを、インターネット経由で外出先から手軽に送受信できるのがクラウド型のメリットだ。受信トレイから送信済みメールまで、端末に依存することなく共通化できるのも便利といえる。中には現場の利便性を考慮し、既存のメールクライアントを使い続けるケースもあるが、いずれもドラッグ&ドロップ対応など現場目線での使いやすさを重要すると良い。また、移行時に既存メールのインポートができるかも確認しておきたい。
ファイル・ドキュメントの共有 企業内には実に数多くのファイル・ドキュメントが存在しているが、これらを集約・共有するのもグループウェアの重要な役目となる。アップロード&ダウンロードを簡単かつ迅速に行えるのはもちろん、膨大なデータから目的の情報に素早くアクセスできる一覧性や検索機能、さらには部署や役職に応じたアクセス制限なども選定時のポイントだ。
搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系 短評
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
電子会議室・BBSの利用 × × 国内外に複数の拠点を持つ企業などでも、時間や場所にとらわれることなく情報共有や意見交換が行える電子会議室・BBS。ストレスなく使えるために重要な入力・閲覧・検索のしやすさはもちろん、部署や役職に応じたアクセス制限、データのエクスポートをはじめとした管理者による運用・管理の容易さなどもチェックしておきたい。
社内ソーシャル 事務的な情報共有の枠を超えて、社内コミュニケーションの円滑化が図れるソーシャル機能。社員同士のつながりが強化され、職場の雰囲気向上やモチベーションアップが期待できるほか、グループウェア自体のアクセス頻度向上にも貢献してくれる。Office 365ではプランに応じて「SharePoint」のソーシャル機能や「Yammer Enterprise/Basic」が利用可能。Office 10は、掲示板やメッセージに加えて報告書のコメントなどにも「いいね!」などで意思表示ができる。desknet's NEOでは、Twitterライクな「ネオツイ」が使いやすい。Google Appsについては「Google+ for Work」を用意するなど、製品に応じて特徴が異なっている。
利用者名簿・社員名簿の共有 素早いアクションを起こす上で、メールアドレスや内線番号などが記載された利用者名簿・社員名簿の共有は欠かせない。通常業務の連絡用としてだけでなく、有事の際には緊急連絡先一覧としても活用できる。公開範囲の設定が行えたり、管理者の負担を減らすデータのインポート・エクスポート機能を有していると便利だ。
連絡先・アドレス帳の共有 企業の重要な情報資産といえるのが、取引先や顧客の連絡先・アドレス帳。入力や編集作業が簡単に行えるのはもちろん、目的の連絡先をすぐに探し出せる一覧性や検索性、そこからすぐにメール送付などができるアクション性もポイントとなる。こちらもデータのインポート・エクスポート機能の有無はチェックしておきたい。
社内回覧 × × × 企業内の連絡手段として役立つのが回覧。一方的に送信して相手からの返信を待つメール連絡とは異なり、回覧を使うとより効率的な社内連絡が行えるようになる。回覧を受け取った際の通知や既読状況の確認、コメント追加、締め切り日の設定、回覧後の分類・保存といった機能があるとさらに便利だ。desknet's NEOではV3.5から日報や報告書などのテンプレートを作れるようになり、使い勝手が向上している。

基本機能・アプリケーションとして挙げた項目については、国産グループウェアのすべてが一通りを網羅する結果となった。一方で海外製は、共用設備の予約管理、電子会議室・BBSの利用、社内ソーシャル、利用者名簿・社員名簿の共有、連絡先・アドレス帳の共有、社内回覧において、機能が非搭載もしくは拡張での対応となっている。

逆に、スケジュールの共有・管理、メールの管理・送受信、ファイル・ドキュメントの共有に関しては、国産・海外製ともに機能を有している。これらは日常業務において非常に利用頻度が高く、細かな使い勝手の差異も重要になってくる。そこで特に顕著な差が見られる、スケジュールの共有・管理とメールの管理・送受信について、より詳細な機能比較を行っていきたい。

スケジュールの共有・管理

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
交通費・経費精算連携 × × × × ×
空きスケジュールの検索 × × ×
予定承認・否認 × × ×
リマインダー
複数の休祝日カレンダー × × ×

メール

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
IMAP対応 (メール受信のみ) ×
誤送信防止機能 (ルール設定などで
ある程度まで
抑止が可能)
(ルール設定などで
ある程度まで
抑止が可能)
× × ×
共有メールアカウント設定 × ×

スケジュールの共有・管理については、交通費・経費精算連携、空きスケジュールの検索、予定承認・否認、リマインダーといった日常業務でニーズの高い機能に加えて、部門や拠点ごとに異なる出勤予定を反映できる、複数の休祝日のカレンダーを備えているといった点も、多拠点を展開する企業には重要な要素のため、比較の中に含めている。

全体的な特徴として、国産は海外製と比べ、「メンバー全体の予定の把握」を重要視した機能構築を行っているといえる。「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」については、複数の休祝日カレンダーにも対応しており、たとえば24時間勤務の企業で3交代制のスケジュールを組む、直接部門と間接部門で異なる休日を管理する、といった企業の場合にも社員のスケジュール管理が可能だ。

メールの管理・送受信に関しては、使い慣れたメールクライアントからメール送受信が行えるIMAP対応や、複数人で使える共有メールアカウント設定、メールの誤送信防止機能を持っているかを重要視し、比較を行った。特に誤送信防止に関しては、昨今大きな問題となっている企業の情報漏えいリスクを低減するという意味でも、非常に重要なポイントといえるだろう。

ところで、機能面については、"海外製のみに備わっている機能"と"国内特有の要件を求められる機能"という2種類の分け方をすることもできる。ここからは、少し視点を変えて、機能面の比較を行っていきたい。

海外製のみに備わっている機能

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
ドキュメント作成・編集 - - -
Web会議 - - -

国内特有の要件を求められる機能 - ワークフロー -

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
ワークフロー機能の有無 - - -
代理承認機能 - - -
経路設定・経路の自動分岐 - - -
組織・役割による承認者決定 - - - ×
申請書の連続承認 - - - ×

国内特有の要件を求められる機能 - ポータル・インフォメーション -

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
インフォメーション・掲示板機能の有無 - - -
インフォメーション情報の承認機能 - - - × ×
ポータル機能の有無 - - -
部門別のポータル作成 - - - ×
画像対応コンテンツエディタ - - - × ×

海外製のみに備わっている機能としては、ドキュメント作成・編集、Web会議が挙げられる。

まずドキュメント作成・編集については、「Microsoft Office 365」は定番のビジネスツール「Office」を。「Google Apps」は、オンラインストレージ「Googleドライブ」に統合された「Googleドキュメント」を搭載し、それぞれグループウェア上でドキュメントの制作・編集が行える。GoogleドキュメントはOfficeファイルとの互換性を備えているが、関数やグラフなどはデータによって一部反映されない場合があることに注意したい。Officeで作成した既存の情報資産が多いケース、Excelで複雑な関数やマクロを組んでいるようなケースでは、「Microsoft Office 365」を選ぶ方が安心といえるだろう。

Web会議については、「Microsoft Office 365」は「Skype for Business」を。「Google Apps」は「ハングアウト」にて利用できる。いずれもマルチデバイス対応なので、PCに限らずスマートフォンやタブレットでの参加も可能だ。国産グループウェアに関しても追加のサービス契約でWeb会議に対応するものがあるが、海外製は標準で備えており、この点は大きな差異だといえよう。Web会議の頻度や重要性が高い企業では、現場における実際の使い勝手に加え、各アプリケーションとの連携性なども踏まえ、選定してほしい。

国内特有の要件を求められる機能として、まずは代理承認機能、経路設定・経路の自動分岐、組織・役割による承認者決定、申請書の連続承認、インフォメーション情報の承認機能といった、ワークフロー関連の項目を比較してみた。背景として、日本企業は独自の商慣習に加え、各企業で異なる組織構造や承認ルートを設定している場合が多く、円滑に業務を進める上でワークフロー機能の充実は重要な役割を果たしていることがあげられる。グローバル展開をしている企業でも日本の商慣習がベースとなっているならば、国産を選ぶメリットは大きいといえる。

国内特有の要件を求められる機能として、もうひとつ挙げられるのがポータル・インフォメーションに関するものである。企業内の迅速かつ正確な情報伝達・共有を行う基盤であるポータルだが、業種や業務内容に応じ、必要となる表示項目が変わる場合も多い。そのため、自社にとって最適なポータルを、いかに簡単にすばやく構築できるかが重要となるのだ。くわえて拠点や部門ごとに複数のポータルを作成できるか、ポータルメニューを柔軟にカスタマイズできるか、といった部分も選定ポイントといえるだろう。その面で、「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」は、ドラッグ&ドロップ操作で容易にポータル設計ができる点にくわえ、ユーザー権限や部署、役職などに応じ各メニューの表示・非表示が設定可能であり、柔軟性の高い製品だといえる。

また、ポータルは企業内の情報発信源であり、インフォメーションは頻繁に更新する必要が出てくる。そうするとインフォメーション作成におけるコンテンツエディタの使いやすさが重要となるが、本稿で比較した製品・サービスは、いずれもリッチテキストエディタを備えているため、HTMLの知識なしで文字装飾や簡単な表の作成などが行える。たとえば「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」の場合、コンテンツ制作の自由度が高まる画像編集ツールを搭載しており、クライアントPCからダイレクトにアップロードした画像をWebブラウザ上で編集・レタッチすることが可能だ。画像編集ソフトが使えない工事現場や工場などでも簡単に画像編集が行えるほか、回覧・レポートに対応しているのも便利だ。

何をもって導入検討グループウェアの機能面を評価すればよいか

グループウェアの選定・評価で迷っている場合、まずは上記で示した「海外製のみに備わっている機能」と「国内特有の要件を求められる機能」のどちらを優先するべきかを出発点に、検討を開始しても良いだろう。

たとえばWeb会議機能を重視する場合、海外製の「Microsoft Office 365」と「Google Apps for Work」が有力候補といえる。逆に既存のWeb会議システムを使い続けるなど、純粋なグループウェアとして細かな利便性を求める場合、国産の「ガルーン 4」「Office 10」「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」に候補が絞り込まれてくる。

そしてもうひとつ、グループウェアは「"使われなければ意味が無い"ツール」だという点を常に意識することが重要だ。グループウェアが企業内で有効に機能するか否かは、単純に必要な機能を有しているかだけでなく、ユーザービリティの高さが大きく影響してくる。たとえばUIが見づらい、各アプリケーションが孤立して連携力に欠けている、といった点は、常日頃から業務で使用する社員にとって大きなストレスとなる。こうしたストレスの蓄積が利用率低下を招くため、グループウェアは現場視点での使いやすさを重視して選びたい。
アプリケーション連携という部分では、「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」はv3.5で大きな強化を果たした。たとえば取引先から届いたメールをむやみに転送することなく社内のメンバーと共有したり、メールから直接打ち合わせの予定を追加するといったことが可能となり、より利便性がアップしている。

そしてもうひとつ、社内のITリテラシーによって使いやすいと感じるレベルが異なる点にも配慮したい。これは管理者だけでなく、実際に現場で利用する社員についても同様だ。特に海外製は、日本企業向けの細かい機能に特化していない分、比較的ITリテラシーの高い企業向きともいえる。たとえば「Google Apps for Work」のカスタマイズは管理者にある程度の知識・スキルが求められるほか、「Microsoft Office 365」はドキュメント作成・編集やOutlookの使い方こそ慣れているものの、Exchangeでのスケジュール管理、SharePointやExcelを用いたワークフロー構築などをエンドユーザーが行うには相応の教育が必要だ。一方の国産製品は、誰にでも使いやすい仕様になっているものが多いことから、初めてグループウェアを導入する企業にもお勧めといえる。

マルチデバイス対応、グローバル対応、管理機能

それでは続いて、各種デバイスへの対応や管理機能などについての比較を見ていこう。

マルチデバイス対応(タブレット)

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
対応プラットフォーム iOS、Android、BlackBerry、Windows iOS、Android、BlackBerry、Windows iOS、Android、BlackBerry、Windowsなど(一部機能制限あり) iOS、Android、BlackBerry、Windows iOS、Android、BlackBerry、Windows iPhone、Android、Windows
利用可能機能 PCと同じ PCと同じ PCと同じ PCと同じ PCと同じ PCと同じ
操作性 タッチ操作を考慮したインターフェース設計 タッチ操作を考慮したインターフェース設計 タッチ操作を考慮したインターフェース設計 タッチ操作を考慮したインターフェース設計 HTMLではマウス操作前提のインターフェース。スマートフォン用無料アプリ「KUNAI」ではタッチ操作を考慮したインターフェースとなる タッチ操作を考慮したインターフェース設計

マルチデバイス対応(スマートフォン)

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
対応プラットフォーム iOS、Android、BlackBerry、Windows Phone、Symbian iOS、Android、BlackBerry、Windows Phone、Symbian iOS、Android、Blackberry、Windows Phone搭載の各種端末(一部機能制限あり) iOS、Android、BlackBerry、Windows Phone iOS、Android、BlackBerry、Windows Phone iPhone、Android
導入・展開 URLを知らせるのみで使えるが、メールなどは個別設定が必要。アプリもあり URLを知らせるのみで使えるが、メールなどは個別設定が必要。アプリもあり URLを知らせるのみで使える。Googleドライブなどサービスごとのアプリも利用可能 URLを知らせるのみで、端末へのインストール作業は一切不要 個々の端末に各社マーケットプレースからスマートフォン用無料アプリ「KUNAI」をダウンロード URLを知らせるのみで、端末へのインストール作業は一切不要
BYOD(私用端末の業務利用) 端末を選ばず、インストール不要で利用可能 端末を選ばず、インストール不要で利用可能 管理者設定による許可および端末側の設定で利用可能 端末を選ばず、インストール不要で利用可能 個人端末にアプリのインストールを依頼。サポートは困難 端末を選ばず、インストール不要で利用可能
フィーチャーフォン対応 対応無し 対応無し 対応無し サービスライセンス契約時、フィーチャーフォンに最適化されたUIで操作できる フィーチャーフォンに最適化されたUIで操作できる 対応無し

グローバル対応

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
タイムゾーン(時差)対応 ×
多言語メール送受信 ×
クライアント多言語対応 ×
利用可能言語 日本語・英語など32カ国語 日本語・英語など
41カ国語
日本語・英語・中国語 日本語のみ 日本語・英語

管理機能

搭載機能 Offices系 Google Apps系 サイボウズ系 desknet's系
Microsoft
Office 365
Enterprise
(E1)
Microsoft
Office 365
Business Essentials
Google Apps for Work サイボウズ ガルーン 4 サイボウズ Office 10 desknet's NEO V3.5
(desknet'sクラウド)
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
組織・グループの階層管理 × ×
役割(ロール)管理 × ×
アクセス権限
管理権限の委譲 ×
ユーザーの一時停止機能 ×
削除ユーザーの復旧 ×

マルチデバイス対応、グローバル対応、管理機能への評価

ビジネススピードが加速する中、近年はスマートフォンやタブレットを有効利用する企業が急増しており、グループウェアでもマルチデバイスに対応する製品・サービスが多くなった。本稿で比較した製品・サービスも、すべてマルチデバイス対応となっている。ただし、一口にマルチデバイス対応といっても、単純に各種機能を使えるというだけでは利便性に欠ける。スマートフォンやタブレットはPCと比べて画面が小さく、操作もタッチ主体になるため、画面の構成や遷移方法、タップするボタンのサイズなどを実際に見たうえで、操作性が高いものを選びたい。なお、専用アプリを使う製品はタッチ操作に長けたものが多い反面、インストール作業やバージョン管理など管理者の手間が増える要因にもなるので注意が必要だ。

ところで、いまや中小規模でもグローバルビジネスを展開する企業は珍しくない。こうした企業では、タイムゾーン(時差)対応や多言語メール送受信、クライアント多言語対応、利用可能言語といったグローバル対応面も確認しておきたいところだ。本稿で比較した製品・サービスに関しては、「Office 10」以外の全製品がグローバル対応となっている。こうした基本的なグローバルでの機能対応に加え、海外拠点では日本国内と休祝日が異なったりもするので、「スケジュールの共有・管理」項目として挙げた「複数の休祝日カレンダー」も利用できると便利だろう。

管理機能に関しては、「Microsoft Office 365」のEnterpriseプラン(E1)、「ガルーン 4」「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」がすべての比較項目を網羅している。社内の部署が細分化されていたり、臨時プロジェクトの発足が多いような企業の場合、組織・グループの階層管理や役割(ロール)管理を重視したほうが良い。また、削除ユーザーの復旧は、誤ってユーザーを削除してしまった場合などに役立つ機能だ。復旧できる期間やユーザーに紐付く情報の内容は製品・サービスによって異なるので、使い始めてから困らないよう管理者としてはその辺りの情報も事前に確認しておきたい。

最新クラウド型グループウェア徹底比較 総論

本稿では、近年ますます重要度が高まっているグループウェアに関して、国産と海外製の差異、各種用途などに応じた機能比較を行ってきた。最後に改めて、全体の傾向を確認してみたい。

海外製については、基本機能や管理機能の面で「Microsoft Office 365」が優位性を発揮している。日本企業にとっても、これまで慣れ親しんだ「Office」の名を冠するだけに、選びやすい製品といえるだろう。複数のプランが用意されているので、規模やITリテラシーの高さに応じて選びたいところだ。「Google Apps for Work」は、「Microsoft Office 365」と比べまだ発展途上といった感もあるが、各アプリケーションの連携能力は注目すべきところである。だたし、カスタマイズの幅が広い反面、使いこなすには管理者に相応の知識・スキルが求められる点に注意してほしい。

国産グループウェアに関しては、サイボウズが、「ガルーン 4」および「Office 10」という2つの製品で市場ニーズをカバーしているのに対し、ネオジャパンの「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」は単体で幅広い企業規模やニーズに対応しているのが特徴的だ。ビジネスが順調に伸び企業規模が拡大した際、途中で使い慣れたグループウェアを変更するのは社員にとってストレスになり、業務効率を低下させる可能性がある。「desknet's NEO(desknet'sクラウド)」は、その対応能力の高さから、同じ製品を長く使い続けられるという強みがあるといえる。

冒頭でも解説した通り、近年は実にさまざまなグループウェアが登場し、その有効性も増加している。重要視してほしいのは、自社のニーズに最適な製品・サービスを選択するという点だ。いくら低コストでも、グループウェアは「"使われなければ意味が無い"ツール」である。業務に必要な機能の有無だけでなく、現場での利便性を最優先にした選択が求められるのだ。

グループウェアを選ぶ際は、本稿も参考に、自社のニーズに応じた最適な製品を選定していただきたい。

制作:マイナビニュース


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