ペーパーレス化による業務改善の本当の効果とは

ビジネスシーンにおいて、書類などをすべて電子上ですませるペーパーレス化が進んでいます。その目的のひとつに業務改善があるのですが、実際にどのくらい効果があるのでしょうか。ITコンサルタントの古賀竜一さんが紹介します。

ペーパーレス化の停滞が起きている?

ペーパーレス化の停滞が起きている?

ITの導入によってペーパーレス化が進むと言われて久しくなります。しかし、事業所によっては内部コンセンサスの策定が十分でなかったり、策定していてもイレギュラーなどが重なり、機能不全を起こしていてペーパーレス化が停滞したり、紙に逆戻りしている場合さえあります。これらは、ペーパーレス化の効果が十分理解されず、マネジメントにも問題があるために起きています。今回は、ペーパーレス化によって業務改善が本当に可能なのか、もう一度原点に立ち返り、その意義と効果について、ITコンサルタントの古賀竜一さんに紹介いただきました。

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ペーパーレス化の”顕在的な効果”

ペーパーレス化の”顕在的な効果

ペーパーレス化の業務改善効果で最初に思い付くのは、紙代の節約でしょう。コスト削減として見える形ですぐに現れるので”顕在的な効果”と言えます。このような顕在的な効果をいくつか挙げてみます。

  1. 1.紙や紙の使用に付随する用品や消耗品類のコスト削減
  2. 2.インク代、トナー代、印刷の外部委託費、印刷機導入などの印刷に関するコスト削減
  3. 3.紙媒体のバインディング、搬送、搬入、搬出などにかかるコスト削減
  4. 4.送付や配送の送料などのコスト削減
  5. 5.廃棄処分にかかる費用の削減
  6. 6.保管場所の確保や適切な保管方法などにかかるコスト削減

こうしてみてみると、顕在的な効果の多くがコスト削減に関するものです。しかし、それだけを改善効果として評価してしまうと、意外と大きな効果がなかったり、経費削減が十分できていたりする状況下では、その必要性が軽視されてしまう場合があります。ペーパーレス化の本来の効果はコスト面だけでは測れません。重要なのは”潜在的な効果”です。

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ペーパーレス化の”潜在的な効果”

ペーパーレス化の”潜在的な効果”

コストなど、ペーパーレス化の顕在的な効果は”見える化”しやすい一方、”潜在的な効果”は見えにくいため効果が理解されなかったり、評価されない傾向にあります。しかし、実は、潜在的な効果のほうが業務改善効果としては最も重要で影響力も大きくなります。コスト削減のような顕在的な効果は、潜在的な効果を引き出すための一過程に過ぎません。ペーパーレス化の潜在的な効果をいくつか上げてみます。

1.情報漏えいなどのリスク回避

紙媒体の場合、紛失や誤配、放置などの管理不行き届きによる情報の漏洩は物理的なものを伴い、回収や収拾が非常に困難になってリスクが高くなります。データ化にも情報漏えいリスクはありますが、一元管理が可能で追跡や対応も行い易くなります。誤り訂正などへの対応も優れています。

2.データ化による情報の共有、意思疎通

データ化によって情報の共有が容易になり、それに伴って意思の疎通も行いやすくなります。情報の量が膨大になっている昨今で、情報の共有を紙媒体で行うのはさすがに限界があります。

3.迅速な意思決定

情報の共有や意思疎通の効果によって、意思決定までのプロセスや時間が短縮され、スピード感を必要とする事案や懸案などでは進展を早めることができるようになります。

4.データ化による短時間抽出の効果

データ化することで、必要な資料や文書などを効率よく的確に検索し抽出することができます。紙媒体から必要なものを探し出すというのは、手間だけでなく時間の無駄でもあります。以上のように潜在的な効果では、時短効果が目立ちます。確かに、時間の短縮も業務改善の1つです。しかし、潜在的な効果は単に時短できると言うだけでなく、重要なのはその影響です。

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潜在的な効果がもたらす業務改善効果とは

潜在的な効果がもたらす業務改善効果とは”

以上のようにペーパーレス化によってコスト削減、時間短縮といった業務改善効果が認められます。重要なのはその影響の先にある”効果の循環”です。

ペーパーレス化で起きる効果の循環

●経費や時間に余裕が生まれることで無理、無茶、無駄が緩和されて労働意欲が高まる。

●情報の共有や意思疎通が活発になり、早い意思決定や決断を可能にし、業務の効率化が進む。

●意欲の高まりや業務の効率化が進むことで事業所内の停滞している雰囲気も次第に変化する。

●停滞による顧客や取引先への内部都合優先の対応(大容量のデータに対応できない、フォーマットが限定的で利便性に欠ける、インフラや環境が古い、対応が遅い、対応できる人材が少ないなど)が改善され、良質な対応が可能となる。

●外部からも先進的で風通しの良い社風と映るようになる。

●企業としての信用やイメージが向上する。

●受注や新規取引が増加する。

●利益も増えて、事業運営のさまざまな面に余裕が生まれる。

●一番上に戻る↑

以上のような循環が形成され、ペーパーレス化による本当の業務改善に成功している例は多く、今後も増えていくでしょう。ペーパーレス化の停滞や失敗を招くのは、その循環形成を待たずに途中でやめてしまうからです。”効果の循環”を維持し続けることがペーパーレス化成功の鍵です。IT導入というのが、単なる機器の導入だけでは成功しない理由がそこにあります。

このようにペーパーレス化は、紙代を浮かせる小さな志ではなく、本当の効果や影響を知れば、今すぐにでも着手すべき最も効果的な業務改善策であると言えるでしょう。

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古賀 竜一 執筆者プロフィール:
古賀 竜一/ITコンサルタント

中小企業庁 専門家派遣事業 登録専門家。
ITサポートエンジニアとして16年、現在も現場の第一線でサポート実務を行う。オーダーPCの製作や、メディアへの記事監修協力、IT記事寄稿なども行っている。

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