働き方改革

グーグルのプロジェクトが発見したチーム力を高める心理的安全とは

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変化に強い人材になるために必要なコンセプチュアルスキルとは

 

心理的安全性の及ぼす「効果的なチームづくり」への影響について、グーグルのプロジェクト・アリストテレスの結果をもとに解説します。

グーグル社のプロジェクト・アリストテレスとは

変化に強い人材になるために必要なコンセプチュアルスキルとは

 

プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)とは、グーグルが2012年に開始した労働改革プロジェクトの総称のことです。このプロジェクトの目的は「『効果的なチームを可能とする条件は何か』という問いに対する答えを見つけ出すこと」、すなわち生産性の高いチームがもつ共通点とその影響因子を見つけることでした。プロジェクト・メンバーはグーグル社のピープル・アナリティクス・チームをはじめ、外部の統計学者・技術者・組織心理学者・社会学者などあらゆる分野の専門家です。そして、調査分析の範囲は、グーグル社内の多くのプロジェクト・チームの活動成果からメンバーの言動にまで及びました。約4年の歳月と何百万ドルもの研究費を費やしたプロジェクトと言われています。

 

その後は2016年、メンバーの一人であるJulia Rozovsky氏が、プロジェクトが影響因子の特定に成功したことを「Harvard Business Review」に発表。ビジネス界で大きな注目を集めることになりました。現在ではGoogle re:Workというウェブサイトでも情報を入手することができます。
 
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心理的安全性が、チームに生産性と成果を生み出す

変化に強い人材になるために必要なコンセプチュアルスキルとは

 

多くの組織では、大部分の仕事をチームで進めます。そして従業員はほとんどの仕事にチームの一員として取り組みます。組織にとって優れたチームとは「生産性が高く、成果を生み出すことができる」チームなのは明らかなのですが、そのチームに必要な条件は明確ではありません。

 

プロジェクト・アリストテレスでは、メンバー間の「相互依存性」(※1)に着目。このプロジェクトでは、メンバー数が3~50名の、メンバー間の相互依存性の高い180チームを対象にリサーチを実施しました。
次に、チームの効果性について、定性的・定量的な指標を独自に設定して評価します。すると定性的評価については、立場によって用いる指標が異なることが判明しました。マネジャーは「結果」を、チームメンバーは「チーム内の文化や風土」を、そしてチームリーダーはその両面を重視することがわかったのです。

 

そこでリサーチ・チームは

 

①マネジャーのチーム評価
②チームリーダーのチーム評価
③チームメンバーのチーム評価
④四半期の売上ノルマに対する成績

 

の4つの指標を組み合わせて、チームの効果性について評価を試みました。

 

リサーチ・チームはいくつかの統計モデルを使い、チームの効果性について影響因子を特定しようと試みます。その結果、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」という点の方が重要であることが解明されました。
そして、チームの効果性に最も影響をあたえる因子は「心理的安全性(psychological safety)」(※2)であることがわかったのです。
たとえば、自分に能力がないように見られるのが嫌で、会議の場で質問をしたりアイデアを提示したりすることを躊躇してしまうといったことはないでしょうか。組織では、誰もがフラットな関係で、安心して意見を述べたり質問したりできるような環境作りを目指すことが大切です。つまり、心理的安全性とはそういった環境そのもののことを指すのです。

 

※1 相互依存性
「自立したメンバーでありながらも、状況に応じてお互い依存し合える関係性」のこと

※2 心理的安全性
1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した言葉で、チームにおいてメンバー自身が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信がある、すなわち、「チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」のこと
 
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チームで心理的安全性を高めるためには

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グーグルにおいて、心理的安全性の高いチームはメンバーの離職率が低く、チームのパフォーマンスが上がり、創造性も向上するという特徴がありました。しかし実は、グーグルの経営陣は当初「優秀な人材を揃えたチームこそパフォーマンスも高く、生産性も高い」と考えていたそうで、仮説は見事に覆されたのです。
では、チームで心理的安全性を高めるにはどのような組織行動が必要なのでしょうか。ここでは5つほど紹介します。

 

・チームで協力し合う環境作り:疑問やできないことがあるのは当たり前という空気感があり、困ったことがあれば誰かが助けてくれるチームを心がけるといいでしょう。
・発言する機会を均等にする:年齢や性別、役職によらず、相手の価値観や意見の多様性を意識して、発言機会を均等にする取り組みを行いましょう。
・ポジティブ思考:ネガティブな言い方を減らす意識をもち、ポジティブな言い方に変えていくことで、自然にチーム内にポジティブな考え方が広がります。
・風通しの良い組織を目指す:日本の企業はトップダウン型組織が多いためイメージしにくいかもしれませんが、年齢や立場に関係なく対等な立場で意見交換することは可能です。
・メンバーを尊重する:メンバー間の信頼関係は、心理的安全性を高める重要な要素です。「自分はチームにとって必要だ、わかってくれている」というメンバーの認識は信頼関係を醸成します。
 
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まとめ

今回は、グーグルのプロジェクトの一つ「プロジェクト・アリストテレス」の取組み背景やプロセスを説明しました。
「プロジェクト・アリストテレス」の独自リサーチによって「効果的なチームを可能とする条件は何か」という影響因子を見つけ出し、「心理的安全性」が非常に重要な影響を及ぼしているということが解明されています。

 

心理的安全性とは「チームメンバーがフラットな関係で、安心してリスクを恐れず発言できる場が共有されている状況」のことです。今回紹介したように、実際にチームで心理的安全性を高める行動は主に5つあります。
これらの考え方について、日本の企業組織では肯定的な意見が多いものの、まだまだ否定的な意見も出ているようです。しかし、これからのダイバーシティやグローバル組織に対応するためにも、成長を促す組織づくりの考え方の一つとして捉えていくと良いのではないでしょうか。ぜひ、みなさんの組織の心理的安全性は高いのかどうかを考えてみて、組織内でも施策を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

参考論文
Edmondson, A. (1999). “Psychological safety and learning behavior in work teams” Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.

参照:”What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team.”The New York Times.
https://www.nytimes.com/2016/02/28/magazine/what-google-learned-from-its-quest-to-build-the-perfect-team.html

参照:Google re:Work 日本語版サイト
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/foster-psychological-safety/
 
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農山 一志農山 一志(組織開発コンサルタント)

中小企業をチームから元気にするプロフェッショナル。正解なき組織課題に対して日々奔走中。好きな言葉は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」。最近の頑張り事はマラソン。
農山一志 (ソリューションプランニング)
公式URL:http://solutionplanning.jimdo.com/

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WORKSHIFT DESIGN 編集部

WORKSHIFT DESIGN(ワークシフトデザイン)編集部。 働き方を、シフトする。現場目線で新しい時代の働き方を考えるメディアとして【働き方改革】【リモートワーク/ワークスタイル】【残業削減】【業務効率化】をテーマに記事を執筆しています。