働き方改革

働き方改革を導入するとどのような弊害が生まれるのか

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働き方改革を導入するとどのような弊害が生まれるのか

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現代日本の労働環境には、少子高齢化や低い労働生産性、長時間労働、「正規」「非正規」という2つの働き方による不合理な待遇差、子育てや介護等との両立、副業・兼業など働き方の多様化など、さまざまな課題が存在しています。それら課題を解決するべく掲げられたのが「働き方改革」です。 しかし、働き方改革をただ導入するだけでは、弊害が生まれる恐れがあります。そこで今回、人事コンサルタントの石井勝也さんが働き方改革導入による弊害とはどのようなものなのかを解説します。

長時間労働の現状は?

長時間労働の現状は?

 

まずは、長時間労働の実態について探るべく、法律で規定されている総年間労働時間と実際に労働者が働いた時間の平均である総実労働時間を比べてみましょう。

 

法律上、時間外労働の上限は年360時間(臨時的特別な事情がある場合は年720時間)が原則です。2019年完全週休2日制の会社の場合、年間休日は121日(祝日17日を含む)なので、1日の所定労働時間を8時間として総年間労働時間を計算すると(365-121)×8時間+360時間= 2312時間になります。

 

一方で、一般労働者(フルタイム)の総実労働時間は、1990年代以降、2009年(1976時間)を除き、 2000時間以上を維持しており(2015年は2026時間)、一般労働者の総労働時間は横ばいで推移しているようです。

 

参考:年間実労働時間 | 働き方検定
http://work-coordinator.com/word/w03/w3-4-2.php

 

比較すると、 計算値の総年間労働時間が総実労働時間よりも大きいのです。 この数字だけを見ると、長時間労働はないようにも見てとれますが、そういうわけではありません。ここで取り上げた総実労働時間は全業種の平均であり、限られた業種・職種は長時間労働の実態があり、是正すべき対象となっています。例えば、運輸業、建設業、情報通信業、教育・学習支援業、専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業に従事する労働者が当てはまります。

 
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長時間労働是正の影響は?

長時間労働是正の影響は?

 

長時間労働の是正によって、労働者は肉体的・精神的な負担が軽減され、業務の効率性を高めることができる状態になり、併せて能力開発に割く時間的余裕や私生活に割く時間的余裕が生まれます。しかし、業務の効率性を高めることは一朝一夕にできることではありません。そんなに容易にできるのであれば、多くの企業は問題を抱えたまま放置などしていないでしょう。

 

働き方改革の掛け声の下、企業は残業時間削減に取り組みます。そうすると労働者にしわ寄せが行くことが想定されます。 例えば、業務量は変わらないのに職場での残業が禁止されるため、持ち帰り残業をしたり、始業前やランチタイムに業務したりする人も出てくるでしょう。厳密に言えばこれらはサービス残業に該当します。これらの弊害を取り除くには、働き方改革を推進する前に各職場で 生産性向上のための業務を見直しすることが必要です。書類のペーパレス化ビデオ通話の導入、「本来やらなくても良い仕事」の見直し、マンパワーに頼っている業務のシステム化など、それぞれの職場で無駄な部分を削減する方策がたくさん出てくるのではないでしょうか。

 

しかし、少ない人材で経営を行っている企業は働き方改革を進めると仕事が回らなくなります。「残業代に相当する人材を採用すればいいのではないか」と言う人が多いのですが、売り手の転職市場では企業の思惑通りに人材が採用できません。政府には、実体性のある生産性向上のためのシステムの提供、時間外労働に代替する社員を採用した場合の助成金の導入を新たに検討することを期待したいです。

 
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正規雇用と非正規雇用の格差是正

正規雇用と非正規雇用の格差是正

 

非正規雇用とは有期労働契約である「パートタイマー」や、「アルバイト」、「契約社員(期間社員・臨時社員)」、「派遣社員」(登録型派遣)と呼ばれる従業員の雇用形態のことで、正規雇用以外の有期雇用者を指します。

 

企業が「非正規雇用」を行う理由はさまざまです。この人事政策を企業が推進した背景には、第一に、 企業間競争を生き抜くために賃金などの労働コストの低い非正規雇用の活用が効果的なこと、第二に、 経営の先行き不透明感から、企業活動の状況に応じて要員増減が容易である非正規雇用は企業経営の安定をもたらすこと、第三に、 労働者派遣法改正により派遣社員の業務範囲の拡大や、労働基準法改正により労働契約可能期間の上限が1年から3年に引き上げられるなど、非正規雇用を利用しやすくなったこと、があげられます。

 

今回の働き方改革の非正規雇用の処遇改善は、いわゆる同一労働同一賃金の考えが根本にあるので、 人件費削減を目的とした非正規雇用を行っている企業にしてみれば人件費がかさんでしまうのではないかと心配することもあるでしょう。そういう企業は、早急に人事評価の見直しを主に人事制度改革を考え、徐々に規約等の整備をしていくことが必要でしょう。

 

同一労働同一賃金の法制化は正規雇用と同レベルの業務を行うフルタイムの非正規雇用にとって、賃金アップとなり諸手を挙げて歓迎されるでしょう。しかし、 処遇アップとトレードオフの関係にあるのが「職務上の責任」です。正規雇用に「担当させる仕事」と、非正規雇用に「担当させない」仕事を明確化することは、処遇に差がある理由になります。 企業は非正規雇用に処遇アップをするには、業務の責任も負ってもらうことをよく理解してもらわなければいけません。正規雇用と同視点から業務に責任をもって働いている非正規雇用者もいるので、そういう人には昇給や研修を組み込んでモチベーション維持に努めることは必要でしょう。

 
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ワークライフバランスを尊重した多様な働き方は機能するのか?

ワークライフバランスを尊重した多様な働き方は機能するのか?

 

アメリカは、時間や場所に捉われない柔軟な働き方であるフレキシブルワークや、在宅勤務などのリモートワークの導入を先駆けて行いましたが、 業務とプライベートの区切りが曖昧になり、結果として労働時間が大幅に伸びたと言われています。
ただ働き方を柔軟にするだけでなく、労働時間管理の仕方などをしっかりと整備し、ワークライフバランスの観点から、一人ひとりが無理なく、適材適所で自分にあった労働スタイルを実現できれば現状よりもはるかに働きやすい労働環境となるでしょう。
 
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石井 勝也

執筆者プロフィール:
石井 勝也(グローバルHRコンサルタント)
アメリカでMBA(専門は人事)取得。ゼネコン人事・海外赴任経験後、人事アウトソーシング会社を経て起業。メインは人事制度構築とキャリアコンサルティング。

WORKSHIFT DESIGN 編集部

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WORKSHIFT DESIGN 編集部

WORKSHIFT DESIGN(ワークシフトデザイン)編集部。 働き方を、シフトする。現場目線で新しい時代の働き方を考えるメディアとして【働き方改革】【リモートワーク/ワークスタイル】【残業削減】【業務効率化】をテーマに記事を執筆しています。