働き方改革

「ワークライフバランス」「働き方改革」と介護休業制度

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「ワークライフバランス」「働き方改革」と介護休業制度

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価値観が多様化している現代、仕事中心で家庭を顧みない働き方は通用せず、仕事と生活の調和、いわゆる「ワークライフバランス」が重要となってきています。仕事と生活のバランスは、職場環境と家庭の事情により人それぞれ違いますし、その実現のためには、既存の働き方を変える「働き方改革」が必要となります。

 

非正規雇用の処遇改善や長時間労働の是正などのほか、超高齢社会の日本においては「介護と仕事の両立」も重要な課題となっています。

今回は「ワークライフバランス」「働き方改革」と介護休業制度の関係について、ケアマネジャーの吉田耕一郎さんに紹介いただきました。

企業と社員を守るための法令順守

企業と社員を守るための法令順守

 

大企業では、介護休業制度の整備は進んでいるようですが、中小企業においては、未整備の会社もあるようです。また、整備されていても、従業員に周知されておらず利用が進んでいない会社もあります。実際、介護休業の利用を申し出た社員より、上司から「利用の前例がない」「うちの会社には、そんな制度はない」などと、利用を拒否されたとの声も聞かれます。

 

介護休業制度は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に規定されています。整備の有無にかかわらず従業員は利用することができ、会社が利用を拒否することは法律違反となります。制度を整え、従業員に周知することにより、結果、社員が働きやすい環境を整えることになります。
 
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介護体制を整えるための長期の休み 「介護休業」

介護体制を整えるための長期の休み 「介護休業」

 

介護休業を取得して、労働者が対象家族の介護を行うことも可能ですが、本来の目的は介護体制を整える準備期間(介護認定の申請手続き、ケアマネジャーやサービス事業所選びなど)とされています。

1.対象労働者

要介護状態にある対象家族を介護する労働者(日々雇用される者を除く)

〈期間を定めて雇用される労働者〉

申出時点において、次の要件を満たす必要があります。

・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

・取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過するまでの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

〈労使協定を締結することにより、対象外となる労働者〉

・入社1年未満の労働者

・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者

・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

2.対象家族

負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫

※介護関係の「子」の範囲は、法律上の親子関係がある子(養子含む)のみ

〈2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態〉

・介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること

・座位保持、排泄、衣類の着脱などに一定の介護が必要な状態で、かつ、その状態が継続されると認められること

3.期間及び回数

対象家族1人につき、通算93日まで

3回まで分割可能

4.手続き

労働者は、休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申出

※休業終了予定日の2週間前までに申し出ることにより、93日の範囲内で申出毎に1回に限り繰下げが可能

5.介護休業給付金

年次有給休暇と異なり、介護休業を利用した場合、会社に賃金支払い義務はありません。従って休業中の収入がなくなる可能性があり、利用を躊躇することも考えられます。そこで雇用保険に介護休業給付金という制度が設けられています。休業開始時賃金日額の最大67%が支給されます。
 
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病院への付き添いなどの単発の休み 「介護休暇」

病院への付き添いなどの単発の休み 「介護休暇」

 

病院への付き添いや介護サービスを受けるために必要な手続きなどが該当します。また、対象家族を直接介護するものだけではなく、家事や買い物など、対象家族の世話と認められるものでも該当します。

1.回数

・1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで

・1日又は半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得が可能

2.対象労働者

・労働者(日々雇用を除く。1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は1日単位のみ取得可)

〈労使協定を締結することにより、対象外となる労働者〉

・入社6か月未満の労働者

・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
 
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介護しながら仕事を継続するための 「そのほかの制度」

介護しながら仕事を継続するための 「そのほかの制度」

 

介護休業や介護休暇など会社を休むものだけではなく、介護休業制度には働きながら介護を継続するため、労働時間に関する以下のような施策もあります。

1.介護のための所定外労働の制限

要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合には、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはなりません。

2.介護のための時間外労働の制限

要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合には、事業主は制限時間(1カ月24時間、1年150時間)を超えて時間外労働をさせてはなりません。

3.介護のための深夜業の制限

要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合、事業主は午後10時から午前5時(深夜)において労働させてはなりません。

4.介護のための所定労働時間短縮などの措置

次のいずれかの措置を講じなければなりません。

 

・所定労働時間を短縮する制度

・フレックスタイム制度

・始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ

・労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度
 
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まとめ

まとめ

 

そのほかにも事業主には、法定の期間や回数を上回る措置を講ずる努力義務、就業場所の変更を伴う配置変更において介護の状況に配慮する義務、介護休業中の待遇改善や休業後の労働条件の変更などを就業規則などにあらかじめ定めておき、社員に周知する努力義務なども課されています。

 

今回は介護休業制度の概要についてお伝えしましたが、実際にはもっと詳細な決まりがありますので、確実な理解が必要です。コンプライアンスを重視し労働者が働きやすい環境を整えれば、優秀な社員の離職が少なくなり、結果として企業の発展につながります。そのため、しっかりとした介護休業制度の整備が必要です。
 
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吉田 耕一郎執筆者プロフィール:

吉田 耕一郎
社会保険労務士・介護支援専門員・ケアマネジャー

開業社会保険労務士として企業の労務管理に携わる他、介護支援専門員の実務経験もある。

労務管理に関するセミナー講師、また介護支援専門員や介護福祉士などの受験講座の講師にも従事する。

WORKSHIFT DESIGN 編集部

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WORKSHIFT DESIGN 編集部

WORKSHIFT DESIGN(ワークシフトデザイン)編集部。 働き方を、シフトする。現場目線で新しい時代の働き方を考えるメディアとして【働き方改革】【リモートワーク/ワークスタイル】【残業削減】【業務効率化】をテーマに記事を執筆しています。