残業削減

残業規制のポイント解説! 2020年4月から中小企業にも適用

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大企業では、2019年4月からすでに適用されている残業規制。2020年4月、いよいよ中小企業にも適用されました。みなさんの会社では、残業規制への対応は順調でしょうか?
残業規制について、法改正の概要と中小企業が取るべき対応のポイントをご説明します。

いよいよ中小企業にも適用される残業規制とは?

2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」。時間外労働の上限規制(以下、残業規制)や有給休暇の付与義務化など、中小企業にも影響が大きい内容が含まれています。

 

残業規制について、中小企業への適用は1年間猶予されていましたが、2020年4月1日から適用が始まりました。ただし残業規制の施行にあたっては経過措置が設けられています。少し細かくなりますが、施行日(中小企業は2020年4月1日)以後の期間のみを定めた36協定(労働基準法第36条に基づく労使協定)に対して、残業規制が適用されます。
2020年3月31日を含む期間について定めた36協定は、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、残業規制は適用されません。

 

例えば、中小企業で2020年1月1日から始まる36協定を締結する場合、2020年4月1日に改正法が適用されても、2020年12月31日までの1年間は残業規制が適用されず、2021年1月1日から始まる36協定から残業規制が適用されることになります。

中小企業にも適用される残業規制について、主なポイントを下記に整理しました。

  • 時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間(1年単位の変形労働時間制の場合、月42時間、年320時間)
  • 特別条項を付けて36協定を締結する場合も、時間外労働時間は年720時間(月平均60時間)を上回ることができない
  • 上記の年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合についても、最低限上回ることができない上限を以下のように設ける
    ①2、3、4、5、6カ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んでひと月あたり80時間以内
    ②単月では、休日労働を含んで100時間未満
    ③特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6カ月が限度

 

参照:厚生労働省 「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
 
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残業規制が適用される中小企業の定義

 

2020年4月から残業規制が適用された「中小企業」の範囲については、「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する労働者数」が下記の表の基準を満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。
事業場単位ではなく企業単位で判断されます。また、業種の分類は日本標準産業分類に従って判断されます。
個人事業主や医療法人など資本金や出資金の概念がない場合は、労働者数のみで判断することになります。

 

①資本金の額または出資の総額

 小売業  5,000万円以下
 サービス業
 卸売業  1億円以下
 その他の事業  3億円以下

 

または

 

②常時使用する労働者数

 小売業  50人以下
 サービス業  100人以下
 卸売業  100人以下
 その他の事業  300人以下

 

 

参照:厚生労働省 「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
 
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残業規制の適用が猶予される事業・業務もある

中小企業の残業規制の適用に猶予があるのとは別に、残業規制の適用が猶予・除外となる事業や業務があります。それぞれの事業・業務ごとに次のように規定されています。

  • 自動車運転の業務…2024年4月1日以降適用
  • 建設事業…2024年4月1日以降適用
  • 医師…2024年4月1日以降適用
  • 鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業…2024年4月1日以降適用
  • 新技術・新商品などの研究開発業務…適用されない

 
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中小企業の残業規制への対応のポイント

 

残業規制に対応した36協定を労働者代表(過半数代表者)と締結し、所轄労働基準監督署への届出を行います。このとき、労働者代表の選任には注意が必要です。労働者代表を適正に選任するポイントは下記のとおりです。

  • 管理監督者でないこと
  • 36協定締結をする者を選出することを明らかにした上で、投票・挙手などの方法で選出すること
  • 使用者の意向に基づいて選出された者でないこと

次に、36協定に定めた内容を遵守するよう、労働時間をリアルタイムに近い状態で把握し、従業員の労働などの状況を確認できる体制を構築することが重要です。使用者が事後的にしか労働時間を把握できなかったとしても、その時点で時間外労働時間の法定上限を超えていれば違法となります。

 

労働時間の管理において必要なポイントを整理します。

  • 1日・1カ月・1年のそれぞれの時間外労働が、36協定で定めた時間を超えないこと
  • 休日労働の回数、時間が36協定で定めた回数、時間を超えないこと
  • 特別条項の回数(=時間外労働が限度時間を超える回数)が、36協定で定めた回数を超えないこと
  • 月の時間外労働と休日労働の合計が、毎月100時間以上にならないこと
  • 月の時間外労働と休日労働の合計について、2、3、4、5、6カ月のどの平均をとっても、1月当たり80時間を超えないこと

 

参照:厚生労働省「36協定の締結当事者となる 過半数代表者の適正な選出を! 」
 
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まとめ

中小企業が残業規制に適正に対応していくためには、業務効率の面からも「タイムカードや出勤簿による労働時間の集計作業」から「勤怠管理システムなどを活用した勤怠管理」への転換を図る必要があるでしょう。
勤怠管理システムのアラート機能などを活用し、時間外労働時間の法定上限を超えそうな従業員に対して、事前に残業抑制を指示するといった運用も効果的です。

 

また、勤怠管理の見直しだけではなく、労働時間を管理する体制の構築・業務の見直しや洗い出し・生産性の向上など、各企業が取り組むべき課題は多岐に渡ります。
都道府県労働局や働き方改革推進支援センターなど、課題解決のための公的な相談窓口も用意されています。社会保険労務士などの専門家に相談するのも有効かもしれません。自社内での取り組みはもちろんのこと、これらの相談窓口や専門家の活用も検討してください。

 

参照:厚生労働省 「働き方改革 特設サイト」
 
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石原 鉄二(特定社会保険労務士)石原 鉄二(特定社会保険労務士)
業界最大手の生産財専門商社にて営業職、その後小規模製造業にてナンバー2として経営全般を担当することで、経営、人事労務、営業の実務を経験し、その後の社会保険労務士事務所開設へ向け、大きな影響を受ける。2007年栄経営労務管理事務所を開設。中小企業への人事労務支援に情熱を注ぐ。就業規則は業種、企業規模にかかわらず作成・運用実績多数。2018年兵庫県働き方改革推進支援センターアドバイザー就任、2019年京都働き方改革推進支援センターアドバイザー就任。

栄経営労務管理事務所 代表・特定社会保険労務士 石原鉄二
https://www.sakae-sr.com

WORKSHIFT DESIGN 編集部

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WORKSHIFT DESIGN 編集部

WORKSHIFT DESIGN(ワークシフトデザイン)編集部。 働き方を、シフトする。現場目線で新しい時代の働き方を考えるメディアとして【働き方改革】【リモートワーク/ワークスタイル】【残業削減】【業務効率化】をテーマに記事を執筆しています。