インタビュー

SNS活用しまくりのOWNDAYS田中修治社長。「有名人になりたいの?」的な問いに彼が本気で答えたら、深い話になった

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時代の変化に応え、働き方をシフトする、ナレッジ共有インタビュー第2弾。ご登場いただくのは、「破天荒」経営者で知られるメガネ製造販売会社・OWNDAYSの田中修治社長です。彼が代表に就任した時、同社は倒産寸前でした。そこから「奇跡のV字回復」を達成。序の鐘が鳴りやまないうちに売上・店舗数を拡大し、日本を代表するメガネチェーンになりました(と、書くと「いや、日本っていうより世界一を見てるから」と田中社長に言われそう)。

 

彼の特徴といえば、いの一番にSNSの活用をあげる人もいるでしょう。OWNDAYSは10,000人以上のフォロワーをもつ人を対象に特別な採用枠を設けています。それに加え田中社長は、働き方改革の流れによって「業務の見える化」が進むなか、SNSで「社長の仕事の見える化」も実行中。「ビジネスにSNSは有効」を証明し続けています。

 

田中社長は言います。

 

「ビジネスで使おうって人のほとんどが『実名』じゃなくてハンドルネーム、中途半端な匿名で、アイコンをイラストとかにして発信してるんですよね。実にもったいない。それじゃ、せっかく発信しても説得力がでません。実名・顔出しで発信しないと、ビジネスではほとんど役に立たないと思います」

 

「『実名でやって炎上したらどうしよう』と言う人もいますが、それは自信過剰なだけ。想像してるほど世間は自分のことなんか見てないんです。そんな正体のつかめない『世間の目』を過度に気にして隠れてしまうより、自分のまわりの人にしっかり自分の考えを届けることをまず考えた方がいい」

 

SNSをめぐる施策に、田中社長は、実は想像を超えた意義を持たせていました。今回はそこを深堀りです。私の感想をまぜながら――。

 

(敬称略、聞き手・書き手=株式会社ネオジャパン 正木伸城)

 
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「知らない」から社員の妄想がマイナス方向に暴走する

ギラギラしたスパイクつきスニーカーをはいた田中さんが現れた。シューズからして主張を感じさせる。ビジネスマンのかつての流行書『夢をかなえるゾウ』には、働き手の基本として「靴を大切に」を第一歩とせよ、と書かれていた(1)。――忘れられがちだけど、いつもあなたを支えているのは靴だよ。その靴に目を向け、大事にする営みが、陰の支え手に目を向けるという大切な素養につながるんだよ――。田中さんの靴はどうだろう。私のゲスい感性は「自己顕示欲、すごそう」との感想を抱かせた。

 

田中 OWNDAYSを買収して社長になった時、まずは社員との関わりをつくることを大事にしました――。

 

――という話は、そこかしこの記事に出ている。筆者はそれよりも「見た目とかで誤解されないのかな」ということに関心が向いた。田中社長は昔、ロン毛で茶髪だったらしい。その彼が、急に「今日からOWNDAYSの新社長です」となったら、社員は色々憶測しそうだ。

 

田中 最初の1年は誤解というか、ホント根も葉もない噂や憶測だらけでしたよ(笑)。聞くに堪えないしょうもない噂とか、僕の存在をおもしろく思わない一部の人たちからの誹謗中傷もたくさんありました。「社長はホストだったらしい。客から引っぱったカネでOWNDAYS買ったんだって」みたいなこともささやかれたり、ネットに書かれたり。最初はムキになって反論しましたけど、そのうち慣れてきました。

 

根拠のない妄想――。誰もが、人に対して「知っている」部分と「知らない」部分をもっている。OWNDAYSの「ある社員」から見た田中さんにも、「私(=ある社員)が知っている田中社長」と「私が知らない田中社長」の両側面が存在する。問題は、仮にその社員が田中社長についてほとんど知らなかった場合だ。実は「知らない」こと自体に危険が潜んでいる。

 

田中 結局、僕のことをよく知らないから勝手なことをおもしろおかしく言ったのかなって思ってます。

 

社長のことをよく知らない社員のなかには、社長についての「知らない」部分を想像で埋めようとする人がいる。その妄想は「知らない」がゆえに暴走する。特にネガティブなイメージは、個人の頭のなかだけでなく、周囲にどんどん広がってしまう。しかし、そんな社員が「あ、社長って、○○な側面もあるんだ」と気づくと、途端にその社員は社長を身近に感じるようになる。「知ること」と「親しみ」にはそんな関係がある(2)

 

田中 社員の間に「互いのことをよく知らない」という状態があるのは経営的にもあまり良くない。妄想の独り歩きが始まるからです。ネガティブイメージの負のスパイラルを止めるために、僕の場合は、とにかく一人一人と対面でしゃべり続けました。その結果、徐々に僕のことを知ってもらえるようになって、僕への偏見も少しずつ弱まっていった。語り合っても僕を嫌いなままの人もいましたけど、それは価値観が合わなかっただけ。それ以降は、根も葉もない噂で一方的に人格を否定するような「バカな嫌い方」はなくなりました。人って実際に会って話すと、文句って言いづらくなるじゃないですか。知らない人にならTwitterとかでいくらでも悪口言えるけど、リアルな知人にはあまり言えない、みたいな。似てる話だと思います。メールやチャットをする時に相手の顔が思いうかぶ。そんな距離感をつくることが大事だと思います。
 
NewsPicksの記事突然の代表交代、混乱する社内をOWNDAYSはどう乗り越えたのかでも、そのことに触れられていた。今は社員数も増え、全ての社員やアルバイトスタッフとじっくり個人面談をすることは難しくなったが、その分、田中さんはTwitterやInstagram、Facebook、ブログ等で自らの考えや日々の行動を発信し続け、多くの社員に「田中社長って、意外とこういうところもあるんだ」と感じてもらう瞬間を与え続けている。それが、社員のなかの「田中像」にリアルさを添えているのだ。
 
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経営者マインドや当事者意識を社員に持ってもらうには?

経営者マインドや当事者意識を社員に持ってもらうには?

 

田中 会社の経営層とかって、規模が大きくなるほど秘密主義に陥りがちですよね。でもそれって、今の時代にはあまり合ってないんじゃないかと考えてます。2008年にOWNDAYSの社長になった頃は、とにかく「社長もがんばって仕事してるよ」ってことを全社員に知ってもらうことが大事だったんで、自身が日々何をして過ごしているかを正しく伝えることにこだわりました。皆と一緒に店に立ち、気づいたことは改善策として実施しましたし、どうやって会社を成長させたいかということも周囲に伝え続けました。

 

社長のそんな姿が身近に感じられれば、社員のマインドも変わるかもしれない。社長の動きを日常的に見るなかで、自分が今している仕事と会社全体の動きがリンクして感じられる場面も増えるだろう。当事者意識をもってもらえる可能性もある。

 

田中 当事者意識って、「持って!」って言って持ってもらえるものじゃない。SNSの領域でいうなら「発信者の側になる」「情報を公開する側になる」ことで初めて持てる当事者感覚ってあるんですよ。発信側になれば、たとえば、社員としての責任を意識する瞬間が増えます。OWNDAYSでは「ビジネスでSNSを使うからには『実名』と『顔出し』で発信すること」を最低限ルールにしています。実名だから、彼・彼女らは、硬い言い方をすれば「OWNDAYSの看板を背負って」発信しなければならないことになる。それが当事者性の高い社員を増やすことにつながっていると感じています。なかには意図せず会社にとってマイナスな発信をしてしまう社員もいるかもしれませんが、そこは社員を信用して、「何かマズイことがあったら責任は社長の自分がとるから、ガンガン発信して」と推奨しています。経営者に限らずビジネスマンは、そういった態度と信頼の元に日常を積極的に発信するよう意識してみてほしい。思わぬ気づきが得られますよ。

 

「自身のことや仕事の情報はなるべく公開する」というスタンスをとる堀江貴文さんが、かつて「そんなに情報をダダ漏れさせて、パクられたらどうすんの?」と問われたことがあるらしい。

 

田中 堀江さんは、僕が影響を受けた唯一の人ですね(他の取材でもそう言いました)。

 

その時、堀江さんはこう言い返している。「パクられる側はパクる側にくらべて常に『先行』している。パクられる事柄は価値があると見なされていて、パクられて話題性が高まって市場が大きくなれば、パクられる側はそのまま市場で『スタートダッシュに成功した者』になれる。パクられる側は市場の中心にポジショニングができ、有益な情報がどんどん集まる上に情報拡大の恩恵をいちばん受けられるようになる。だから情報は人目にふれさせたほうがいい。どんどん公開して、パクる側でなくパクられる側になれ」(3)(趣旨)――。

 

田中 会社の情報もできる限り公開してます。グループウェアなんかで、経営会議の情報や全社実績、役員や社員みなの給与の額まで、タイムリーに社内発信してます。むしろ、公開してない情報ってあったっけ? って感覚です。あとは、僕の姿をSNSで見てもらうのもそうですが、社員には少しでも価値観を広げてほしいんですよね。

 

SNSやグループウェアで情報公開しつつ、それを社員の価値観拡大につなげる?

 

田中 たとえば、僕はメディアに積極的に出ています。戦略的に、OWNDAYSに「利」があると思ってやってます。でもそれを見て「有名人になりたいんすか」って言ってくる人もいる。そういう人には、「こうして露出すると無料で宣伝できるよ? やらないと損じゃん」と説明します。説明しないと、その人は自分の価値観「外」の、「タダで宣伝」というところまで考えが及ばないんです。僕が書籍を出したり(4)講演したりすると、「社長、めっちゃ稼いでる」って思われて、「印税、いくら入ってんすか」「講演料、いくらっすか」とか聞かれたりもします。もっとひどいと「ちゃんと社員に還元してます?」って疑われたり。講演料を調べた奴が「1回30万円らしい。ってことは、田中社長は……月200万!?」なんてところで勝手に驚かれて、うらやましがられるんです。

 

私も下衆の勘繰りで、田中さんに「自己顕示欲、すごそう」との感想を抱いた。しかし、そういった妄想は、ビジネスシーンでもまま見られるものである。
 
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価値観が広がれば、そこに「当事者意識」の入り込む余白ができる

価値観が広がれば、そこに「当事者意識」の入り込む余白ができる

 

そういう時、田中さんはどうしているのだろうか。

 

田中 まず、僕のスタンスですけど、講演はOWNDAYSの宣伝になるものしか受けないことにしています。個人のお金のために何でも受けちゃうと、それこそ講演が仕事になっちゃって本来の経営の仕事が疎かになってしまう。日々、業務とのバランスをみながら登壇してます。社員には「自分のお金ほしさにやってるんじゃないよ」って機会あるごとに説明するようにしています。
 
「儲かる話」に惹かれる人は多いが、それが過剰に氾濫すると「世のなかカネでしょ」といった価値観が強まってしまう。そこまでいかなくても、たくさん稼いでいる人が「僕は、カネのためにやってない」と語ることに「うさんくささ」を感じる人はかなりいるはずだ。田中さんは、そんな人の気持ちを丁寧に解きほぐしているという。
 
田中 そうやって「僕・私の知らない世界がある」って知ってもらう機会をOWNDAYS社員にも増やしたいんです。SNSやグループウェアで社員に情報公開してることも、そう。「OWNDAYS海外スタッフと日本のスタッフがつながれる可能性も高まる」って、SNSを推奨してることも、そう。さらには「メガネ1本」売れることが社会的にどう意味があって、お金がどう流れているのか等をきちんと説明してることも、そうです。知らない世界に触れられる機会を増やすことで、価値観が変わったり広がったりする。そうなれば、思考のなかに当事者意識の入り込める余白もできる。

 

「余白」とは、斬新なキーワードだ。

 

田中 うちの取締役・奥野良孝が、OWNDAYSが苦境の時に昔の元上司から「大丈夫か? いくらもらってるんだ?」って心配されたらしいんです。その時に、奥野は「カネは稼ぐもの。『もらう』って考え方をそもそもしてない」って答えたらしいです。まさにそのとおりだな、と。結構たくさんの人が「給料はもらうもの」と思っている。その固定観念を破ることが、実は当事者意識を伸ばすのに大事です。「俺が会社のカネを稼ぐ」ってくらいでないと。そういう気づきは、価値観の変化によって訪れたりするので、できる限り「価値観が広がるかも」という施策を社員と実施しています。SNSも凄く役に立つ。価値観が広い人って、ふつうに魅力的だし、信用されやすいですから、会社にとっても、そういう社員を育てることはプラスになります。

 

西野亮廣さんが、これからは今まで以上に「信用」が大事になるとして「貯信」という概念を語っている(5)のを思い出した。貯金でなく貯信を、と。田中さんは、今後の小売業が「店」ではなく「人」でモノを売る時代、つまり「どこどこの店だから買いたい」ではなく「あなたから買いたい」が主軸の時代を迎える、と各所で語っている。その時「信用」は最大の武器になる。

 

田中 「自分自身がOWNDAYSだ」くらいの意識でやってくれる社員は、自分個人の信用もつくれるはずなんです。「給料はもらうもの」から脱却して、カネや価値を生みだす側に立てば、たとえば「OWNDAYSという名を低めることはしないようにしよう」という意識も強まる。信用を傷つけることをしなくなります。やる気だって出る。SNSはそんな「場」づくりに役立つんです。「OWNDAYSでメガネを買う」じゃなくて「○○さんがいるからOWNDAYSでメガネを買う」、つまり「OWNDAYSの名の前に自分個人の名前がでてくる」状態で全社員に仕事をしてほしい。そうなれば、その分だけ会社が強くなるじゃないですか。もし仮に小売業が不況で、OWNDAYSがつぶれたとしても、信用をつくってきたスタッフなら別の素晴らしい仕事を見つけることもできます。いつだって自分のやりたいところで挑戦していいんです。よく「会社は家だ。社員は家族だ」って言う人がいますが、僕は、会社は「皆がうまく利用できるインフラに育てあげるもの」と思っています。それ以上でもそれ以下でもない。だから僕は、職場や会社という固定観念にとらわれない、そういった「自由」を、SNSを使う等して皆に獲得していってほしいと思っています。

 

[OWNDAYS関連Twitter]

※各記載内容は2019年9月13日時点

田中 修治 OWNDAYS 社長@shuji7771

OWNDAYS@owndays_PR

ヨシオクノ奥野良孝@YoshitakaOkuno

重村真実 OWNDAYS PRESS@gafash1gemam1

野渡 美紀@nowa8888

俣野絵美 OWNDAYS人事部@matt_odhr

安田則之経営企画室の担々麺Lover@norrya

 

[脚注]

1:水野敬也『夢をかなえるゾウ』ミズノオフィス

2:他者論等の知見を深めたい方は、エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』熊野純彦訳、岩波文庫などを参照すると良いかも(筆者個人の勧め)

3:堀江貴文『情報だけ武器にしろ。』ポプラ新書

4:田中修治『破天荒フェニックス』幻冬舎

5:西野亮廣『新世界』KADOKAWA
 
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プロフィール

たなか・しゅうじ 1977年生まれ。10代の頃から起業家として事業拡大に挑み、2008年に巨額の債務超過に陥っていたメガネ製造販売会社・オンデーズの第三者割当増資引き受け、同社の筆頭株主、そして代表取締役社長に就任した。2013年には同社初となる海外進出を手がけ、オンデーズシンガポール法人(OWNDAYS SINGAPORE PTE LTD.)を設立。翌年、オンデーズ台湾法人(恩戴適股?有限公司)を設立。2019年7月末現在、アイウェアブランド「OWNDAYS」を12か国310店舗展開し、事業拡大の敏腕をふるっている。著書に『破天荒フェニックス』がある。

WORKSHIFT DESIGN 編集部

WRITER

WORKSHIFT DESIGN 編集部

WORKSHIFT DESIGN(ワークシフトデザイン)編集部。 働き方を、シフトする。現場目線で新しい時代の働き方を考えるメディアとして【働き方改革】【リモートワーク/ワークスタイル】【残業削減】【業務効率化】をテーマに記事を執筆しています。